2018年01月28日(日)

生き返った〜 [漢方薬]

82才の母が風邪をひいた。
最初は、乾燥咳が頻繁で、とりあえず、自宅にあった麦門冬湯を飲んでもらった。
もしかしてインフルエンザかと心配したのだが、いつものかかりつけの内科の先生のところに行くと、風邪やからゆっくり寝なさい。抗生剤も解熱鎮痛剤も不要とのことで処方なし。

なかなか実家に19時までにいけないので、(父母とも19時に就寝している)電話で病状を効いたところ、枯れた声で
「咳はよくなった。しんどくないから大丈夫。熱もないし。」

しかし、老人の風邪がこじれたら大変。
父にうつったらもっと大変。
金曜日に自宅にいってみると、母はソファーで寝ころんでいた。
いつもシャキッとしているのに、気だるそう。
顔色も悪く、浮腫んでぼーっとしている。

脈は沈んで、舌は白く腫れぼったい。

暖房の部屋いるので、手足は暖かかったが、風邪によって身体の芯が冷えているようだった。

これは、東洋医学でいう少陰病期。
桂姜棗草黄辛附湯(けいきょうそうそうおうしんぶとう)が効くに違いない。
エキス剤にはないので、麻黄附子細辛湯と桂枝湯をあつあつのお湯にといて、母に飲んでもらった。

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本当の桂姜棗草黄辛附湯は麻黄附子細辛湯+桂枝湯-芍薬。
含まれている生薬はすべて身体を温めるが、芍薬だけ冷やすので邪魔らしい。だけど、煎じ薬がないので、仕方ない。

翌日、実家に行くと、母がぴんぴんしていた。
お顔もすっきり、お肌もつやつやで生き生きしていた。
母曰く、
「昨日、あの薬を飲んだとき、生きかえった〜。生きてる。
命もらった。と思った。ほんとに美味しくて美味しくて。
だけど、朝楽しみにして飲んだけど、それほど美味しくなくて普通やった。何でやろう?」

これは、きっと昨日の母の状態にまさに桂姜棗草黄辛附湯がドンピシャだったのだ。たった1回の内服で症状が軽快したので、翌日はそれほど美味しく感じなかったのだろう。
漢方薬にはほんとにそんなことがよくある。

いつも辛口の母が、こんなに喜んでくれて、ほんまによかった。何より元気になったのが嬉しい。さっそく、コーラスにお出かけできたそう。

このような状態に、鎮痛剤など飲むとよけいに身体が冷えて悪化する。不必要な抗生剤は、耐性菌を作り、腸内細菌叢を乱す。かかりつけの先生が、抗生剤や鎮痛剤を濫用しない先生でほんとによかった。

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老人には、身体に足りないものが多い。
老人、フレイルこそ漢方薬が役に立つと思う。
すこし、ぼけかけていた父も今は普通になって、元気。
新見先生のこの本が、今とても参考になる。

小児科医でありながら、両親の役にたててよかったとつくづく思う。両親の笑顔が何よりうれしい。

Posted by さかざきひろみ at 14時01分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2018年01月27日(土)

寒っ! 美味しっ! [漢方薬]

水曜日夜は千福ファミリーの新年会。
今回の場所は西宮北口。
寒波が来るという予報で、スタッフたちも
「先生、やめといたほうが」と心配してくれる。
私も遠いので、若干気が乗らなかった。

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がっ、幹事の棚田先生が選んだ「だんらん処真」は、めっちゃ美味しい素敵なお店やった。

鮨うろこといい勝負。
御造りは最高。あと私は牡蠣が少し苦手なのだけど、牡蠣の天ぷらの美味しさにびっくり。

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お酒が好きな先生たちには、美味しいお酒もたくさん。
皆さん、お目目キラキラしてはった。
美味しいお料理とお酒と、楽しいお話し。
ほんとに最高。
新しく参加された先生は、皆のテンションの高さにちょっと戸惑ってはったけど、最後はもうお友達。皆仲良し。漢方がつなぐ「わっ」が広がる。

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帰りに、西宮までわざわざ来てくれてと棚田先生から手土産に、「エイジ・ニッタ」の吟醸マカロンまで頂いた。
お酒の味が強いのかなと思ったのだけど、それほどでもなく中に入っているミルクガナッシュが甘くて良いかんじ。また食べたい。まさにお洒落な手土産。
寒い中、西宮まで行ってよかった!
いつもは熟睡している時間に、みなで大騒ぎ。
帰りの高速から見た深夜の大阪の夜は、キラキラしてたなあ。

さらに後日談。
いい気分になって、私はピンクのイアマフを無くしてしまった。お店に忘れたようで、あとで棚田先生から連絡があった。

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そして、なんと今日わざわざクリニックまで届けて下さった。実は、毎年イアマフを無くしている。去年は2個も。
今年もかと思っていたが、私のところに戻ってきた。
とっても偉い先生で、お忙しのにわざわざありがとうございました。
いつか、このお礼は必ず。

Posted by さかざきひろみ at 18時03分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2018年01月23日(火)

インフルエンザの治療法 [診療]

西洋医学的治療法は、
1)タミフルの内服 
   顆粒とカプセルがある。
   カプセルを飲めるのは体重は37.5kg以上
   お子さんはほとんどが顆粒だけど、これが苦い。
   そのまま飲めない場合も多く、アイスと混ぜると飲みやすい
2)イナビルの吸入
   吸入は1日だけ。
   10歳未満は1キット(2回吸う)10歳以上は2キット(4回吸う)
   1日だけなので便利だけど、小さいお子さんは吸いにくい。
   だいたい6才以上が目安。
   5才でも上手にできるお子さんもいるが、9才でもむせてしまう場合もあり。
   1回分だけなので、失敗できない。
3)リレンザの吸入
   朝夕吸入で5日間
   粉がイナビルに比べてむせにくく、少し甘い
   4才ぐらいでもできる場合がある。
   失敗しても5日分ある
4)ラピアクタの点滴
   通常は1回だけ点滴
   これは、上記がどうしてもできない場合や入院するような重症例に考慮。

これらはどれもインフルエンザウイルスを死滅させるものでなく、増殖を抑える。したがって、熱がでて48時間以内に処方する。ただ、これらの抗インフルエンザ薬を使わないと治らないというわけでない。タミフルが発売されたのは2001年。それまでお薬はなかった。
実際、外来でもすでに48時間以上経過した例や、お薬なしで治っているケースも多い。
また、早期にタミフルなどを使っても、すぐに解熱せず高熱が続くケースもある。

西洋薬と併用して漢方薬治療もある。(もちろん単独でもよい)

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これは、主にお子さんの場合。
高熱がでて悪寒があるようなときは、麻黄湯か葛根湯を3時間おきに内服。
他にも初期には、高熱でひどい症状のときは大青竜湯(麻黄湯∔越婢加朮湯)。
熱がでず寒気ばかりする時やご老人の場合は麻黄附子細辛湯。ご老人や体力ない人は麻黄湯は避けたほうがよい。

汗をかいたら、小柴胡湯や柴胡桂枝湯などの柴胡剤に切り替える。咳がひどくて、夜間眠れないときは、竹茹温胆湯。

そして、もう登校登園してもいいころなのに、いつまでも食欲がもどらない、だるさがとれないときは補中益気湯。
(上の図は、代表的な一部だけで実はもっとたくさんの種類がある)

このように、漢方薬は個人の体質や病気の時期によってお薬が変わり、個人の免疫力をあげて、インフルエンザウイルスによって炎症を起こした体に対して抗炎症作用がある。

元気だったら、西洋薬だけで十分かもしれないけど、しんどいときやなかなか治りにくいときは漢方薬の併用がお勧め。

受験生で、インフルエンザに罹りたくないという場合には、補中益気湯を内服するという方法もある。体質によっては、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、小建中湯なども有効。

Posted by さかざきひろみ at 18時30分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

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