2019年03月14日(木)

お布団から! [診療]

国立成育医療研究センターの研究で、すべての家庭のお子さんの寝具から鶏卵アレルゲンが検出されたとの報告
3歳児がいる国内88家庭を訪問して子供の敷布団からほこりを集め、鶏卵とダニ由来のアレルギー原因物質の量を調査。
全ての家庭で子供用寝具から鶏卵アレルゲンが検出され、しかもダニアレルゲン量よりも高濃度で検出されたとのこと。

食物アレルギーは皮膚感作が主な原因と言われている。

皮膚が湿疹があったり、がさがさしてると、皮膚のバリア機能がなくなり、そこから卵やダニのアレルゲンが侵入して、アレルギーが成立してしまう。

赤ちゃんは、よだれが多いし、ミルクや母乳が皮膚について肌があれやすい。しかも、寝具に寝ていることが多いので、皮膚からアレルゲンが入りやすい。
だから、卵を食べたことがないのに血液検査で卵白RASTが陽性になっているお子さんが多い。

乳児湿疹は油断できない。
新生児期からの保湿剤塗布によりアトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下するとも言われている。

適切なスキンケアと必要な軟膏塗布で、赤ちゃんの皮膚は常につるつるにしておくことがとっても大切。

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Posted by さかざきひろみ at 19時41分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2019年02月19日(火)

麻疹(はしか)が...... [診療]

今年になって、まず三重県の集会での集団感染。
その後、京セラドームのAKB握手会への感染者の参加などあったが、それほど広がらずほっとしていた。

そんな時、ハルカスで麻疹。
発症しているのは20〜40代の方。
そして、茨木市の病院では、麻疹の外来患者さんから職員が感染。

他にも、和歌山や千葉やらあちこちで麻疹の発生が報告されている。マレーシアやタイなど、海外で感染して帰国して発症するケースもある。
関西を中心に麻疹が増加してして、過去10年で最多のペース。

2006年(H18)4月に、MR(麻疹風疹)ワクチンが1歳から2才未満と年長さんの2回接種になった。
2008年(H20)4月に、それ以外の年令の方も接種できるように経過措置された。すなわち2008年4月から2013年3月までの5年間は、1990年(平成2年)4月2日〜2000年(平成12年)4月1日生まれの方は、中1と高3のときにMRワクチンを接種できるようになったのだ。
しかし、この時の接種率は75%しかない。25%もの人、きっと何十万人以上の方が麻疹に対する免疫がない可能性がある。高3でワクチン接種できますよと言われても、受験や学校が忙しくてなかなか接種できなかった人も多いはず。

また、1990年(H2)4月1日以前に生まれた方は、ワクチン接種は1回だけ。

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おとなとこどものワクチンサイトより

新幹線や飛行機、多くの人が集まるところはどこでも感染の危険がある。麻疹は空気感染で物凄く感染力が強い。
一番怖いのは、1歳未満のお子さんが罹ってしまうこと。
小さいお子さんを守るためには、周囲がMRワクチンを確実に2回接種していることが必要。

ただ、現在MRワクチンは定期接種のお子さんの分しか作られていない。関西空港で麻疹騒動があったとき、多くの大人の方が接種されたので、ワクチンが足りなくなるということもあった。あってはならないのだが、今回もその可能性は否定できない。
1歳になったらすぐに、そして年長さんでまだの方はすぐに接種をお勧めしたい。

Posted by さかざきひろみ at 18時57分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2019年01月14日(月)

侵襲性髄膜炎菌感染症 [診療]

土曜日はワクチンセミナー
テーマは「侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)」
   (IMDについて詳しくはこちら

「IMD」は進行が早く重症化すると後遺症が残ったり最悪の転帰をとることもある。咳やくしゃみなどの飛沫感染でうつる。
最初は高熱でインフルエンザのような症状でわかりにくいがあっという間に重症化してしまう。

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よくわかる髄膜炎菌HPより

まれな病気で、私も経験したことがないが、実際に日本でも、全寮制の学校などで集団発生が報告されている。今後、海外からたくさんの人が来たら、さらに増える可能性がある感染症。

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講演Tの圀府寺先生のお話しでは、実際の患者さんの経過。写真をたくさん見せてもらい、その恐ろしさがひしひしと伝わった。幸い、不幸な転帰をとらずに軽快したそうだが、両下肢は皮膚移植が必要なほど大変な状態だった。

講演Uは中野先生のお話し
日本人の保菌率は0.4%だが、地域によってもっと多いところもある。この感染症のことを知らないではすまされない。
予防するワクチンがあるということを、ぜひ現場から情報を発信してほしいとこのことだった。

髄膜炎菌ワクチン(メナクトラ)は、患者さんが増えたことでアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどでは定期接種になっている。
日本では、まだ任意接種で費用もとても高い(当院では23000円)。
メナクトラは起炎菌となりやすいA,B,C,Y,W-135型のうち4つの血清型(A,C,Y,W-135)に対応している。B群には対応してないのが悩ましいが、B群のワクチンは日本にはなく輸入ワクチンとなってしまう。
しかし、寮生活をしている方、海外留学をするお子さんは是非メナクトラの接種をお勧めしたい。クラブの合宿も危険かもしれない。また発症が10代後半にピークがあることより、できれば11才以上のお子さんも接種を考慮して頂ければと思う。

ちなみに患者さんのピークは10代後半と40才〜70才代。

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国立感染症研究所 IASR39(1)より

10代のワクチンとして大切なのはもちろんだが、大人のワクチンとしても接種が必要かもしれない。

Posted by さかざきひろみ at 18時50分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

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