2023年02月14日(火)
腎の衰えは7番 [漢方製剤]
7番は八味地黄丸(はちみじおうがん)。
CMなどで、さかんに宣伝されているので、ご存じの方も多いかも。
これは、腎が衰えた時(腎虚)のくすり。
他にも、87六味丸、107牛車腎気丸がある。
腎というのは、西洋医学の腎臓と違って、
東洋医学では、成長・生殖・老化など生命力、水分代謝機能を司るところ。
ここが衰えると、老化現象 夜間頻尿 腰痛 手足のしびれやほてりが起こってくる。
すなわち、簡単にいうと、年をとって衰えてきた色々なトラブルに対する薬。
どちらかというと高齢者の男性、イメージとして、弱った男性と男性機能。
弱った女性に処方されることも多い。
ただ、必ずしも高齢者だけということでもなく、若い人でも腎のエネルギーが衰えると処方される場合もあるとのこと。
小腹不仁というのは、臍から下の下腹部における筋肉が低下しており、押すと簡単にへこみを生じること。
高齢者の方に結構見られることが多い。
構成生薬は8つ。
地黄+山茱萸+山楽は、補気強壮薬。腎を補って元気にする。
沢瀉と茯苓は水のバランスを整える。
牡丹皮は血のめぐりをよくする。
桂皮と附子は体を温める。附子は最強の温薬。
したがって、冷えている人の薬となる。
八味地黄丸=六味丸+桂皮+附子。
牛車腎気丸=八味地黄丸+牛膝+車前子。
腎虚があっても冷えてない人は六味丸。
ちなみに、牛車腎気丸は、腎虚でむくみがあって、体の節々が痛いとき。
私があまり処方しない薬だが、こうやってまとめると勉強になる。
Posted by さかざきひろみ at 20時24分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
2023年02月12日(日)
思春期の月経トラブル
今年は小児専門医の更新。
5年に1回の更新が必要。
更新に気づいたのは、昨年末。
色々ポイントがあるのだけど、あと11ポイント足りない。
小児科学会の専門医セミナーを拝聴して、テストに合格したら、1ポイント。あと11時間か......。
でも、このセミナーはとても勉強になる。
昨日、拝聴したのは、「小児科医に伝えたい思春期婦人科疾患 」大阪市中央区のこうむら女性クリニックの甲村弘子先生。
思春期の月経異常について、以下の2つについて話された。
1)無月経
2)月経困難症
1)無月経
「まだ生理が来ないんですが」と外来でも時々相談される。
原発性無月経の定義は18歳だが、甲村先生は、15歳で月経が来ない場合は精査したほうがよいとのこと。
月経があって、その後3カ月以上停止したものも要注意。
その原因はダイエットによる体重減少が結構多いらしい。
ほかにも、拒食症、運動性無月経、また多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などがある。
2)月経困難症
「生理痛がひどい」ということもよく相談される。
思春期の場合は、たいてい機能性月経困難でその機序として、
@子宮の収縮をおこすプロスタグランジンがたくさん分泌される。
A子宮や卵巣が未成熟
B冷え
Cストレス
器質的月経困難症としては、
子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などがあるが、これは思春期ではほとんどない。しかし、10代で子宮内膜症のこともあるらしい。
機能性月経困難症の治療は、
1)鎮痛薬
2)漢方薬
3)低用量エストロゲン・プロゲスチン配合錠(LEP製剤)
甲村先生は特にLEP製剤について詳しく話された。
これは、排卵を抑制して、子宮内膜の増殖を抑制し、経血量も減少、プロスタグランジン産生も減少させる。
それによって、月経痛の緩和、月経量の減少、貧血の改善、機能性子宮出血の改善、排卵痛の緩和、月経前症候群の症状緩和。また月経時期もコントロールできる。
日本人はピルはだめだ、怖いという考えがいまだにあるが、このLEP製剤は女性の生活改善の薬だといわれている。
また、10代に月経痛がひどいと、将来子宮内膜症になりやすいとのこと。月経痛を我慢するのではなく、ちゃんとコントロールしてあげたい。
私は、漢方薬や鎮痛剤処方はできるが、さすがにLEP製剤は処方したことがなく婦人科の先生にお願いしている。
ひどい月経痛がある場合は、婦人科の先生にもご相談したほうがよいかと思う。
ただ、LEP製剤の副反応を気にされている方も多い。
低用量になっているので、昔のピルに比べてかなり副反応は少ないとのこと。
それでも、消化器症状(嘔気、腹部膨満)、性器出血、帯下の増加、乳房痛、頭痛などもある。その症状が、漢方薬を併用することによって、よくなることもある。
どんな薬もそうだが、メリットとデメリットを考えて、本人にとってベストの方法を選びたい。
Posted by さかざきひろみ at 19時30分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
2023年02月11日(土)
コラボ [漢方薬]
2024年の東洋医学会総会は大阪で開催。
会頭は三谷ファミリークリニックの三谷和男先生。
まだ1年半ぐらいあるけれど、いろいろ準備が始まっている。
その中で、まり鍼灸院の中村真理先生と小児漢方と小児鍼灸のコラボのシンポジウムを企画。
先日、真理先生、COCO鍼灸院の西口陽子先生と会議。
仮題名を「小児の日常診療に東洋医学を!」または
「小児の日常診療に漢方&鍼灸を!」
内容や講師の先生などについて色々話し合う。
だけど、女子3人が集まると、つい脱線。
美味しいイタリアンを食べながらなので、まるで女子会。
西口先生とは初めてお会いしたけど、とても話しやすい。
もともと真理先生に体調不良を治してもらって、鍼灸の素晴らしさを実感。それから学校に通って、鍼灸師になられたとのこと。
しかもエステシャンでもあり、まさに女性の美の味方。
もちろん、小児針もされている。
素敵な先生方と、ご一緒させて頂いて、とても楽しみ。
今回の学会とは関係ないが、実は真理先生とは偶然にも雑誌でコラボ。
小児診療編で、漢方が私、鍼灸が真理先生。
ますます広がる東洋医学の輪!
Posted by さかざきひろみ at 20時23分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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