2018年01月23日(火)

インフルエンザの治療法 [診療]

西洋医学的治療法は、
1)タミフルの内服 
   顆粒とカプセルがある。
   カプセルを飲めるのは体重は37.5kg以上
   お子さんはほとんどが顆粒だけど、これが苦い。
   そのまま飲めない場合も多く、アイスと混ぜると飲みやすい
2)イナビルの吸入
   吸入は1日だけ。
   10歳未満は1キット(2回吸う)10歳以上は2キット(4回吸う)
   1日だけなので便利だけど、小さいお子さんは吸いにくい。
   だいたい6才以上が目安。
   5才でも上手にできるお子さんもいるが、9才でもむせてしまう場合もあり。
   1回分だけなので、失敗できない。
3)リレンザの吸入
   朝夕吸入で5日間
   粉がイナビルに比べてむせにくく、少し甘い
   4才ぐらいでもできる場合がある。
   失敗しても5日分ある
4)ラピアクタの点滴
   通常は1回だけ点滴
   これは、上記がどうしてもできない場合や入院するような重症例に考慮。

これらはどれもインフルエンザウイルスを死滅させるものでなく、増殖を抑える。したがって、熱がでて48時間以内に処方する。ただ、これらの抗インフルエンザ薬を使わないと治らないというわけでない。タミフルが発売されたのは2001年。それまでお薬はなかった。
実際、外来でもすでに48時間以上経過した例や、お薬なしで治っているケースも多い。
また、早期にタミフルなどを使っても、すぐに解熱せず高熱が続くケースもある。

西洋薬と併用して漢方薬治療もある。(もちろん単独でもよい)

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これは、主にお子さんの場合。
高熱がでて悪寒があるようなときは、麻黄湯か葛根湯を3時間おきに内服。
他にも初期には、高熱でひどい症状のときは大青竜湯(麻黄湯∔越婢加朮湯)。
熱がでず寒気ばかりする時やご老人の場合は麻黄附子細辛湯。ご老人や体力ない人は麻黄湯は避けたほうがよい。

汗をかいたら、小柴胡湯や柴胡桂枝湯などの柴胡剤に切り替える。咳がひどくて、夜間眠れないときは、竹茹温胆湯。

そして、もう登校登園してもいいころなのに、いつまでも食欲がもどらない、だるさがとれないときは補中益気湯。
(上の図は、代表的な一部だけで実はもっとたくさんの種類がある)

このように、漢方薬は個人の体質や病気の時期によってお薬が変わり、個人の免疫力をあげて、インフルエンザウイルスによって炎症を起こした体に対して抗炎症作用がある。

元気だったら、西洋薬だけで十分かもしれないけど、しんどいときやなかなか治りにくいときは漢方薬の併用がお勧め。

受験生で、インフルエンザに罹りたくないという場合には、補中益気湯を内服するという方法もある。体質によっては、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、小建中湯なども有効。

Posted by さかざきひろみ at 18時30分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2017年09月26日(火)

外傷・熱傷治療 [診療]

9月初めの外来小児科学会で参加したハンズオンセミナー
『外傷と熱傷の湿潤療法』
湿潤療法ってどうするの? −子どもの熱傷&外傷への対応 基礎と応用

2011年の外来小児科学会で、熱傷のワークショップにでてから、ある程度のやけどには外来で対応できるようになった。しかし、やけどの部位やら程度が様々あり、外傷のことも、もう一度きちんと勉強したかった。

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色々な症例の実際や、またグループにわけて実際に処置の方法を教えてもらったり、とっても勉強になった。
たしか、8人ぐらいでグループを作って、目の前にはこの患者さん役のキューピーさん。サランラップとか、いろいろな被覆材、ネット、テープなどもある。

私たちのグループには、東京のかるがもこどもクリニックのナース2人がついてくださった。もう熱傷と外傷のエキスパートで、細かいところまで丁寧に教えてもらった。ほんとにありがとうございます。

足の熱傷は比較的処置しやすい。手指の熱傷は、ちゃんと手指が動くように、こんな風に処置をする。あっという間に私の手は、プラスモイストでおおわれた。

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切創でのストリストリップの固定方法も細かく教えて頂いた。そのまま貼るのではなく、ピンセットでテンションをかけながらやると創がうまく縫合できる。だけど、実際はお子さんが泣いて動くので少し大変。

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ちょっとびっくりしたのが、頭部のきず。
なんと、髪の毛をひっぱって傷を合わせるというもの。
たしかに、これだと髪の毛をカットする必要もない。

クリニックは、ケガした!切った!やけどした!と受診される。
今回改めて色々な知識を得ることができた。
少しでも皆さんのお役にたてればと思う。

Posted by さかざきひろみ at 18時56分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2017年09月24日(日)

おたふくかぜで難聴! [診療]

当院では1才のときに、ほとんどの方が、MRワクチン、水痘ワクチンと一緒におたふくかぜワクチンを接種される。

MRと水痘ワクチンは、定期接種で無料だが、おたふくかぜワクチンは任意接種なので、費用がかかる。それでも、説明したら皆さん接種されている。

おたふくかぜによる合併症は、難聴、無菌性髄膜炎などが有名だが、無菌性髄膜炎はほとんどが回復する。しかし難聴は治療法がなくお子さんの一生にかかわる問題、目の前のお子さんたちをそんな目に合わせたくない。
必ず、おたふくかぜワクチンの必要性を説明している。

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先日、日本耳鼻科学会で、大規模な調査が行われ、おたふくかぜによる難聴がなんと2年間に314名も発症(うち両側難聴が14名)していることが明らかになった。難聴になった人を年齢別に見ると、10歳未満が49%と半数近くをしめたほか、10代が22%、20代が7%、30代が11%。

おたふくで難聴になる確率は1000人に1人ぐらいと漠然と言われていたが、実際はこんなにもたくさんの方が発症しているなんて、びっくりした。

おたふくで難聴になったお子さんのお母さんは、「おたふくかぜで難聴になるなんて知らなった。知っていたらワクチン接種をしたのに。」と大変悔やまれていた。

もちろん、ワクチンにも副反応はある。
しかし、自然感染による合併症に比べるとはるかに低い。
さらに、入園入学前に接種するよりも、1才時に接種したほうが、さらに副反応の出現率は低いと言われている。

実際、私自身経験したおたふくかぜワクチンで無菌性髄膜炎になった2例は幼稚園以上の大きなお子さんだった。
もちろん後遺症も残っていない。

1才になってすぐ、そして2回めは年長さんのMRワクチンと一緒にぜひ接種をお勧めしたい。
ただ、費用のかかるワクチンなので、事情があって接種できない方もいる。
本来なら、定期接種になるべきワクチン。
1日でも早くおたふくかぜワクチンの定期接種化を期待している。

Posted by さかざきひろみ at 15時08分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

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