2019年02月19日(火)
麻疹(はしか)が...... [診療]
今年になって、まず三重県の集会での集団感染。
その後、京セラドームのAKB握手会への感染者の参加などあったが、それほど広がらずほっとしていた。
そんな時、ハルカスで麻疹。
発症しているのは20〜40代の方。
そして、茨木市の病院では、麻疹の外来患者さんから職員が感染。
他にも、和歌山や千葉やらあちこちで麻疹の発生が報告されている。マレーシアやタイなど、海外で感染して帰国して発症するケースもある。
関西を中心に麻疹が増加してして、過去10年で最多のペース。
2006年(H18)4月に、MR(麻疹風疹)ワクチンが1歳から2才未満と年長さんの2回接種になった。
2008年(H20)4月に、それ以外の年令の方も接種できるように経過措置された。すなわち2008年4月から2013年3月までの5年間は、1990年(平成2年)4月2日〜2000年(平成12年)4月1日生まれの方は、中1と高3のときにMRワクチンを接種できるようになったのだ。
しかし、この時の接種率は75%しかない。25%もの人、きっと何十万人以上の方が麻疹に対する免疫がない可能性がある。高3でワクチン接種できますよと言われても、受験や学校が忙しくてなかなか接種できなかった人も多いはず。
また、1990年(H2)4月1日以前に生まれた方は、ワクチン接種は1回だけ。
新幹線や飛行機、多くの人が集まるところはどこでも感染の危険がある。麻疹は空気感染で物凄く感染力が強い。
一番怖いのは、1歳未満のお子さんが罹ってしまうこと。
小さいお子さんを守るためには、周囲がMRワクチンを確実に2回接種していることが必要。
ただ、現在MRワクチンは定期接種のお子さんの分しか作られていない。関西空港で麻疹騒動があったとき、多くの大人の方が接種されたので、ワクチンが足りなくなるということもあった。あってはならないのだが、今回もその可能性は否定できない。
1歳になったらすぐに、そして年長さんでまだの方はすぐに接種をお勧めしたい。
Posted by さかざきひろみ at 18時57分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
2019年01月14日(月)
侵襲性髄膜炎菌感染症 [診療]
土曜日はワクチンセミナー
テーマは「侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)」
(IMDについて詳しくはこちら)
「IMD」は進行が早く重症化すると後遺症が残ったり最悪の転帰をとることもある。咳やくしゃみなどの飛沫感染でうつる。
最初は高熱でインフルエンザのような症状でわかりにくいがあっという間に重症化してしまう。
まれな病気で、私も経験したことがないが、実際に日本でも、全寮制の学校などで集団発生が報告されている。今後、海外からたくさんの人が来たら、さらに増える可能性がある感染症。
講演Tの圀府寺先生のお話しでは、実際の患者さんの経過。写真をたくさん見せてもらい、その恐ろしさがひしひしと伝わった。幸い、不幸な転帰をとらずに軽快したそうだが、両下肢は皮膚移植が必要なほど大変な状態だった。
講演Uは中野先生のお話し
日本人の保菌率は0.4%だが、地域によってもっと多いところもある。この感染症のことを知らないではすまされない。
予防するワクチンがあるということを、ぜひ現場から情報を発信してほしいとこのことだった。
髄膜炎菌ワクチン(メナクトラ)は、患者さんが増えたことでアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどでは定期接種になっている。
日本では、まだ任意接種で費用もとても高い(当院では23000円)。
メナクトラは起炎菌となりやすいA,B,C,Y,W-135型のうち4つの血清型(A,C,Y,W-135)に対応している。B群には対応してないのが悩ましいが、B群のワクチンは日本にはなく輸入ワクチンとなってしまう。
しかし、寮生活をしている方、海外留学をするお子さんは是非メナクトラの接種をお勧めしたい。クラブの合宿も危険かもしれない。また発症が10代後半にピークがあることより、できれば11才以上のお子さんも接種を考慮して頂ければと思う。
ちなみに患者さんのピークは10代後半と40才〜70才代。
10代のワクチンとして大切なのはもちろんだが、大人のワクチンとしても接種が必要かもしれない。
Posted by さかざきひろみ at 18時50分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
2018年10月23日(火)
舌下免疫療法 [診療]
先日の学会で舌下免疫療法のハンズオンセミナーを受けてきた。
スギ花粉症・ダニアレルギーに悩んでいる方には、おすすめの治療法。
メーカーの詳しいサイトはこちら
ちなみに、これは、その日の資料一式。
クッピーラムネをつかって、舌下投与の実演。
久しぶりに食べたけど、クッピーラムネはやっぱり美味しい。
舌下免疫療法とは、アレルギーの原因であるダニやスギ花粉を舌下に少量ずつ投与して、体を慣らしていく治療法。治療は3−5年必要になるが、治療終了後も効果が持続する可能性、治る可能性がある根本的な治療になる。初回は病院で投与するけれどあとは自宅でできる。
注意点としては、
@ 約8割の人に効果があるが、効果のない人もいる。これは、治療前に予測はできない。
A ごく少量だがアレルゲンを体に入れるのでアレルギー反応が起こる可能性もある。しかし、アナフィラキシーなどの重篤なものは実際はほぼないといわれている。口やのどがかゆいなどの症状は半分ぐらいのひとにでるが、これも1か月ぐらいでなくなることが多い。
スギの時期になるといつも鼻や目の症状がとてもひどくなる人や、また年中鼻が詰まって苦しいお子さんも多い。5歳ぐらいから可能な治療法なので、気になる方は外来で相談してみてくださいね。
ちなみにプリックテストについてもセミナーがあった。
実際に自分たちでトライ。
私は、コントロールのヒスタミンだけが反応。
右は、私がテストした隣の先生。
アルコールにも反応して真っ赤。コントロール、すぎ、ダニまで腫脹、とってもかゆそう。
プリックテストは、血液検査項目にないものもアレルギーを調べることができる。これも色々役にたちそう。
Posted by さかざきひろみ at 17時02分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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