2023年09月19日(火)

29番麦門冬湯 [漢方製剤]

「ばくもんどうとう」と読む。
最初はずっと「ばくもんとうとう」と思っていた。

かわいた咳には、麦門冬湯が一番。

画像(320x196)・拡大画像(640x393)

西洋薬の咳止めはとにかく身体を乾かして、のどがカラカラになってしまうことが多い。
それに対して、この麦門冬湯は気道や肺をうるおしてくれる。
気道にある水チャンネルのアクアポリン5に作用して、気道に水をひきいれてくれる。

したがって、湿った咳でなく空咳に有効。
時に、空気がかわったり場所がかわったりしたときに、咳がこむあげてくる場合にとてもよい。

また、アナウンサーやオペラ歌手の方など、声をつかう職業の方に人気な漢方薬でもある。

私もずっと外来で、話しているとだんだん声が嗄れてくる。その前に予防に飲んだりしている。
また、1時間の講演をするときは、その前に必ず麦門冬湯を内服。そうすると、最後までのどのすべりがいい感じ。
ただ、ちょっと喉の調子が悪いときは、1回に2包のんだり、2.3時間おきに飲んだりしている。

また、この薬はとても飲みやすいのが特徴でもある。

私の漢方ポーチに必ず入っているお薬でもある。

だけど、最近少し品薄になっているらしい。
せっかく、漢方薬の出荷制限が緩和されたらしいのに、
再び、麻杏甘石湯、五虎湯、麦門冬湯などの咳の薬が品薄に。
咳が長引く人や、咳がひどい人がふえているからかな。

あと、とっても困っているのは葛根湯加川芎辛夷の錠剤が品薄。
これも大きいお子さんたちに人気だったのだけど。
まあ、こちらは粉薬がまだあるので何とかなる。

かぜをひく人が多くなって、西洋薬ではなかなかうまくいかず、漢方薬が処方されるのは喜ばしいことだけど、
品薄なのは、とっても残念。

Posted by さかざきひろみ at 16時18分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2023年09月12日(火)

28番 越婢加朮湯 [漢方製剤]

えっぴかじゅつとう

これは、熱があって腫れている場合になんでも有効。
即効性があり、私の好きな処方のひとつ。

鼻水はでないけど鼻づまりがひどい場合。
目が腫れてパンパンになっている場合。
 (原因は虫刺されでも結膜炎でもアレルギーでもOK)
蜂窩織炎で炎症をおこしているところが、熱くて腫れている。
関節炎で熱をもって腫れている場合。
じくじくしたひどい湿疹。

まさに異病同治。
 (違う病気を、同じ処方で治すこと)

ちなみに、冷えている関節炎にはQ桂枝加朮附湯なるものがある。

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構成生薬は6つ。
麻黄+石膏の組み合わせで、炎症にともなう浮腫を取る作用あ蒼朮も浮腫を取る。
大棗+生姜+甘草は胃腸機能改善し胃薬の効果。

以前、私は鼻閉があるときに飲んでみたが、鼻からスコーンとぬけるように鼻づまりがとれてびっくり。
あとフルマラソンの練習で、膝や腰が痛くなったとき、この薬がとってもよく効いた。

著効例は、21歳のひどい花粉症の女の子。
目がパンパンにはれて、鼻がつまって死にそうということで来院された。
㉘越婢加朮湯を外来で1包飲んでもらったところ、飲んでいる途中から
「ふんふん、あれ鼻づまりましやわ」
飲み終わった後、目の腫脹もましに。
彼女曰く「粉薬嫌いやけど、これめっちゃ効くから、欲しい」

鼻がつまって夜眠れないと泣いていた4歳の女の子。
鼻閉がすっきり治って、私に「苦いくすりくださーい」と。

Posted by さかざきひろみ at 01時29分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2023年08月31日(木)

27番麻黄湯 [漢方製剤]

27番はまおうとう。

元気なお子さんの発熱の初期に出番がある漢方薬。

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麻黄と桂皮(シナモン)と一緒になると、解熱、発汗作用がある。
杏仁は、咳止め。
甘草は、麻黄の副作用が強くでないように緩和する作用があり、他の生薬たちを調和する作用。 隠し味的な感じ。

風邪などのウイルス性の病気で熱がでたら、すぐに飲むと効果的で、孫っぴも熱がでたらすぐに内服。
でも、アデノウイルスや突発性発疹にはあまり効かない。

他には、赤ちゃんの鼻づまりにも有効。

味も比較的飲みやすい。

麻黄の主成分はエフェドリンで、交感神経刺激作用がある。
麻黄湯には麻黄が5gと多い量が入っているので、体力のない老人や高血圧、甲状腺機能亢進症、緑内障、前立腺肥大、心疾患の方は飲まない方がよい。

また、麻黄湯がインフルエンザに対してタミフルと同程度の効果があると以前から報告されている。

さらに、福岡大学の鍋島先生は、RSウイルス感染症に大きな効果が期待できると発表されており論文もある。

麻黄湯の中の、麻黄と桂皮が、RSウイルス表面のGタンパクに結くっつく。そうなるとウイルスが、人の細胞にくっつかないので、感染が成立しない。
さらに、RSウイルスを感染させたマウスに麻黄湯を5日間投与すると、肺炎が起こらず、ウイルスもほとんど検出されなくなることも確かめられた。

RSウイルスにはお薬がないので、早期に麻黄湯を飲むと効果が期待できるかもしれない。

Posted by さかざきひろみ at 19時21分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

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