2023年04月09日(日)
シルガード9 [診療]
4月から定期接種になった子宮頸がん予防ワクチンのシルガード9。
今回はよくある質問について。
1)他のワクチンとの違いは?
サーバリックス2価(HPV16型・18型)
ガーダシル4価(HPV16型・18型・6型・11型)
シルガード9価(HPV16型・18型・6型・11型・31型・33型・45型・52型・58型)
どれにも、子宮頸がんの発がん性の高いヒトパピローマウイルス(HPV)の15種類のうちの16型と18型の2種類が入っている。さらに、シルガードには、アジア人に特に感染が多く見られるHPV52/58型を含むため、原因HPVの90%をカバーすると言われている。
2)定期接種の対象は?
小学6年生(年度初めの4月1日)〜高校1年生(年度末の3月31日)。
しかし、積極的接種勧奨を控えていた時期に、接種の機会を逸した方にキャッチアップ接種というのがあって、その期間は公費接種が可能となる。
期間は令和4年4月から令和7年3月末まで
対象は平成9年4月2日〜平成20年4月1日生まれの方も定期接種として無料で接種をすることが可能。
今なら26歳ぐらいの人も公費で接種可能。
だけど、子宮頸がんの発症は、数年から数十年前のHPV感染が原因となので、できれば性交渉前に、10代での予防が必要。
(子宮頸がんは、20代後半で急増し、40代でピーク)
3)接種スケジュールは?
15歳以上は
1回接種して2ヶ月後に2回目、1回目から半年後に3回目
15歳未満は
1回接種して半年から1年後の間で2回目を接種。
(この年齢では、2回接種でも3回接種と同様の免疫ができるため)
4)サーバリックスやガーダシルを途中まで接種していて、残りを9価に変更することは可能?
今回、R4年4月からシルガード9の定期接種化に合わせて厚生労働省から発表があり、医師と相談した上で残りの分を9価に変更することも可能となった。
5)副作用は?
注射部位の腫脹や痛みがほとんど。
以前マスコミで報道されていた全身症状は、ワクチン接種群と接種していない群と比較すると、これらの症状の起こりやすさにはいずれも差がないことが判明している。
だけど、やはり不安が多い方も多いと思う。
その場合は、かかりつけの先生に相談して、保護者の方も本人もどんなワクチンなのか、なぜ接種する必要なのか十分に納得して接種することをお勧めしたい。
6)子宮頸がんの予防はワクチン接種だけでいいの?
ワクチン接種も大切だけど。20歳を過ぎたら必ず子宮がん検診を受けること も重要。
子宮がん検診受診率は、欧米では約80%だが、日本ではなんと約40%とたいへん低いのが問題となっている。
子宮頸がんは、毎年1万人以上が発症し、3,000人近くが亡くなっていると言われている。これは、毎日30人が子宮頸がんになり、8人が死亡している計算となる。
さらに、20代、30代の子宮頸がん発症率は、1990年と比べると2倍以上に増加している。
イギリスでは、12〜13歳でHPVワクチンを接種した世代は、子宮頸がんのリスクが87%も低下している。
今回のシルガード9の定期接種化の機会に、ぜひ多くの方にワクチンのことを知っていただきたい。
Posted by さかざきひろみ at 19時27分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
2022年06月25日(土)
3度目の [診療]
この暑さの中、東京の小学校でインフルエンザによる学級閉鎖のニュース。
都内で学級閉鎖になるのは、2020年3月以来。
そして、オーストラリアでインフルエンザが急増しているらしい。オーストラリアでの流行は、その後の日本の流行を予測する上で参考になることが多い。
また、現在海外との交流も緩和され、海外から持ち込まれる機会も増える。
過去2年間はオーストラリアでの流行もほとんど見られず、日本でも同様だった。
私が最後にインフルエンザの患者さんを診察したのも、2020年の3月。
この2年間、インフルエンザの流行がなかったため免疫を持たない人が冷えている。
もし、この冬流行すれば、大流行になる可能性が高い。
今まで、新型コロナとインフルエンザが同時流行したら大変だと思いつつ、2年間は同時流行しなかった。
とても嫌だが、3年目の正直になるのか。
はたまた、インフルエンザだけになるのか。
色々なことがあるが、ひとつずつ乗り越えていかないと。
Posted by さかざきひろみ at 19時49分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
2022年06月12日(日)
アデノって?? [診療]
アデノウイルス、手足口病、ウイルス性胃腸炎が増えている。
コロナウイルスは、ほんとに減ったがゼロにはならない。
今日はアデノウイルスについてのお話し。
アデノウイルスは今は80種類以上とも言われている。
たくさんの種類があるので、何度でもかかる。
潜伏期間は5-7日。
結構長いので、兄弟で1人がかかって、治癒するころに下の子が発症したりする。
感染経路は、メインは飛沫感染。
昔は、ちゃんと消毒されていないプールから感染したことからプール熱と言われたりしたが、プールだけでうつるわけではない。
主なタイプ
1)咽頭結膜熱(プール熱)
高熱が3〜7日持続し、扁桃腺が腫れる。両目または片目が真っ赤に充血し、目やにが多い。その間、頭痛、腹痛や下痢を伴うこともある。
2)扁桃腺炎
扁桃腺に膿がつき、高熱が3〜7日間続くことも多い。
今はこのタイプが流行しているよう。
3)流行性角結膜炎
これが一番感染力が強い。
結膜だけでなく、角膜にも炎症がおこる。
両目が腫れて真っ赤になる。治るのに一番時間がかかる。
4)胃腸炎
乳幼児に多くて、嘔吐、下痢、腹痛あり。あまり高熱がでないことが多い。
5)出血性膀胱炎
おしっこをするときに痛みが強く、血尿(赤い尿)がでる。
6)上気道炎・気管支炎
いわゆるかぜの原因にもなる。
治療は、ウイルス感染なので、対症療法のみとなる。
もちろん、どんなに高熱でも抗生剤は不要。
抗炎症効果を期待して、漢方薬が有効なこともある。
扁桃炎タイプには109小柴胡湯加桔梗石膏、目の炎症がひどすぎる場合は㉘越婢加朮湯などもいい。
登園停止になるのは、プール熱と流行性角結膜炎だけになるけど、アデノになったと園にいうと登園許可証をもらってきてくださいと言われることが多いよう。
しかし、アデノウイルスは、目や咽頭から2週間、便からは3-4週間排泄されるので、出席停止だけで、感染を予防することは難しい。
予防は、生活習慣を整えて、しっかり手洗いすることが一番かな。
今年も百合が綺麗に咲いた。
Posted by さかざきひろみ at 17時14分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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