2024年07月21日(日)
いつの日か
RSウイルスは、赤ちゃんにとって、とっても辛い感染症。
特に生後6ヵ月未満は重症化しやすいし、入院することも多い。
2012年から、重症化しやすい赤ちゃんにはシナジスといううRSウイルスに対するモノクローナル抗体の注射という予防法がある。効果は1カ月なので、流行期に月に1回投与が必要。
しかし、実際には、RSウイルス感染症による入院は、基礎疾患のない乳児が大半を占めている。
最近、アブリスボという妊婦さん用のワクチンが登場した。
妊娠後期に接種すると、赤ちゃんにその抗体が以降して、生後6ヵ月ぐらいまで効果がある。
費用は、1回約3万円ぐらい。
さらに、持続型抗RSウイルス抗体であるベイフォータスという注射が発売された。こちらは、1年ほど持続するので、毎月接種する必要はない。
ただ、体重5kg未満の新生児および乳児の1回投与用量である50mgで約46万円と高価、5kg以上でその倍の92万円とめちゃくちゃ高い。
保険適応になるのは、
〇生後初回のRSウイルス感染流行期の、流行初期において
在胎期間28週以下の早産で、12ヵ月以下の新生児および乳児
在胎期間29〜35週の早産で、6ヵ月以下の新生児および乳児
〇生後初回および生後2回目のRSウイルス感染流行期の、流行初期において
過去6ヵ月以内に慢性肺疾患の治療を受けた24ヵ月以下の新生児、乳児および幼児
24ヵ月以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児、乳児および幼児
24ヵ月以下の免疫不全を伴う新生児、乳児および幼児
24ヵ月以下のダウン症候群の新生児、乳児および幼児
生まれて初めてのRSウイルス流行シーズンがきたら1回目の注射を行い、2回目の流行シーズンがきたら、必要に応じて2回目の注射を行うとされている。
実は、シナジスが健常児は対象外だったが、ベイフォータスは健常児にも接種可能になっている。だけどその場合は保険適応外で、すごい費用がかかってしまう。
この世からRSウイルス感染症で重症化するお子さんたちをなくすためには、まず妊婦さんにアブリスボを接種する。その後、生後6ヵ月になったら、ベイフォータスを赤ちゃんに投与する。まるで夢のような話かもしれないけど、もちろんすべて定期接種で無料でないと意味がない。
もしかしたらいつの日か、こんな時代になるかもしれない。
そうなると、RSウイルスで苦しむ赤ちゃんたちがいなくなる。
実際私が医師になった時、ヒブ髄膜炎で苦しむ赤ちゃんがたくさんいた。ところが20年たって、ヒブワクチンが定期接種になって、そんな赤ちゃんたちがゼロになった。
きっとRSウイルスもいつの日か。
私が医師として現役の間に、そうなったらいいな。
Posted by さかざきひろみ at 19時03分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
2024年07月20日(土)
外来状況 [クリニック情報]
梅雨があけたのか、とっても暑い。
そんな中、新型コロナが増えている。
今、流行しているのは、冬場に多く検出されたオミクロン株「JN・1」から派生した変異株「KP・3」。まあ、型が変わっても、現場ではあまり関係ない。
大阪市の感染症情報でも上昇傾向。
他には、マイコプラズマも多い。やはりオリンピックの年に流行する。これは、咳が特徴的。
小さいお子さんたちはRSウイルス。
さらに、インフルエンザAも少ないながらまだあるのでびっくり。
でも、普通の夏風邪も多い。
コロナが流行すると、検査を希望される方が増える。
鼻の検査はほんとに辛い。
小さいお子さんたちが、ただ熱だけで検査するのは可哀そう。
周りで流行しているとか、家族にコロナがいるとか、非常に疑われる場合だけでいいのではないかとも思う。
大好きな桃とさくらんぼ。
たくさんいただいた。
朝、桃をまるごと食べるのが楽しみ。
フルーツは夜たべると太ってしまうので、朝がおすすめ。
まさに朝のフルーツは金。
Posted by さかざきひろみ at 19時09分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
2024年07月18日(木)
56番 五淋散 [漢方製剤]
ごりんさん。
痛みを伴う膀胱炎とか尿道炎の薬になる。
㊵猪苓湯よりも、慢性化して炎症が強いタイプに処方。
「五淋」は、下記の5つの尿路にまつわる症状を意味している。
石淋:尿路結石に伴う「排尿障害」
気淋:ストレスによる「神経性の排尿障害」
膏淋:米のとぎ汁のような「にごった尿の状態」
労淋:疲れによっておこる「慢性の排尿障害」
血淋:血尿など「血液が混じる尿の状態」
抗炎症作用のある黄芩や山梔子が含まれる。
水のバランスを整える生薬もたくさん。
さらに、血の巡りをよくする地黄、芍薬、当帰。
50番代は構成生薬が多い処方がたくさんなので、難しい。
だけど、こうやって整理するとなんとなく理解できる。
ちなみにOTCのボーコレンが五淋散。
ただ、小児科での出番はほとんどない。
泌尿器科ではよく処方されている。
Posted by さかざきひろみ at 18時47分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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