2024年03月23日(土)
外来状況 [クリニック情報]
「卒業おめでとう!」
外来では、こんな会話をする機会がとっても多い。
幼稚園に保育園、小学校に中学、高校。
色んな卒業がある。
そして、「合格しました」という嬉しいお知らせも。
赤ちゃんのときから、知っているお子さんたちが、春から大学生、社会人。
「お世話になりました」としっかり挨拶してくれる。
たくさんのお子さんたちの成長をみることができるのは、小児科医の最高の幸せかもしれない。
外来では、発熱のお子さんたちは減少傾向。
ただ、インフルエンザも新型コロナもなかなかゼロにはならない。
そんななか、RSウイルスが増加傾向。
これは、大阪市の感染症情報でも同じ傾向。
RSウイルスは、2歳ぐらいまでにほとんど皆さんかかってしまうが、その後なんども罹患する。
とくに生後6ヵ月未満のお子さんたちがかかると重症化する可能性があり要注意。
気管支の一番細いところの細気管支に炎症をおこすため、呼吸困難をおこしやすい。
有効な治療法もなく、症状にあわせた対症療法のみとなる。
妊婦さん向けのRSワクチン「アブリスボ筋注用」が1/27に承認され、6月ごろに発売されることになった。
新生児に直接ワクチンを接種しても免疫系が未熟なので、その効果は期待できない。
それで、妊婦さんに接種(妊娠後期の28〜36週)すると、ワクチンによりできた抗体が、母体から胎児に移行して、新生児や乳児のRSV感染症の重症化が予防できる。
ただ残念ながらしばらくは自費で費用がかかるとのこと。
小児科には関係ないが、60歳以上の高齢者向けのRSワクチン「アレックスビー」は発売されている。
もうひとつ、「ニルセビマブ」は承認申請中。
これは、RSウイルスに対するモノクローナル抗体の薬。
現在、日本では、シナジスという注射を、重症化リスクのあるお子さんたちに接種している。ただ、有効期間が短いので、毎月接種しないといけない。
「ニルセビマブ」は、有効期間は5か月と、シナジスよりかなり長い。接種すると血液に直接RSウイルス抗体が送りこまれる。その結果、ウイルスを中和して増殖を防げる。
この二つが発売されて、公費対応になれば、未来のRSウイルスの感染状況もきっとすごく変わるだろう。
Posted by さかざきひろみ at 19時46分 トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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