さかざKIDSブログ

2022年09月10日(土)

危ない!

小児科学会雑誌に注意喚起がでてきた事例2つ。

1)新型コロナウイルス抗原キットの抽出液の誤嚥。
 保護者が眼をはなしたすきに、4歳のお子さんが、抗原キットの検体抽出容器をあけて、抽出液を4本も内服してしまった。
2)5歳のお子さんの消毒用エタノール誤飲。
 保母さんが気付かないうちに、5歳のお子さんが、10回も消毒液を手につけてなめた。

1)については、抗原キットの抽出液の中に防腐剤としてアジ化ナトリウム入っている。
これを経口摂取すると、頭痛、嘔吐、めまい、息切れ、血圧低下、乳酸アシドーシスをおこすことがある。
ヒトの経口の毒性量は 5-10mg
最小致死量は700-800mg。

抗原キットに入っているアジ化ナトリウムは4本のんでも、0.2mg以下であり、中毒症状が出ることはないらしい。しかし、キットによっては、抽出液ボトルから分けて入れるものもあり、小さいお子さんがそのボトルをすべて飲むと中毒症状が起こる可能性もある。また、眼にはいったときの影響は不明で、すぐに水で洗い流す必要がある。

この子さんは、「のどが渇いて、ふたを開けたらリンゴの匂いがしたので飲んだ」とのこと。
今まで抗原キット関連の事故報告は29件ありうち7割はお子さんの誤嚥らしい。
 当たり前のことだけど、事故を防ぐためには、お子さんが触らない様に厳重に保管する必要がある。

2)は、
新型コロナが流行したので、消毒液を保育園の園児が手の届くところにおいて各自で消毒していたとのこと。
 保母さんが気付いたときには、児は目が回って、呂律が回らず動けないため救急搬送。
入院加療で翌日には軽快したそうだが、血中エタノール濃度が高く、急性アルコール中毒と診断された。
この消毒用エタノールは1プッシュ3mlで、小児では4プッシュで重篤な症状が出現する。

 消毒用エタノールについては誤飲以外にも眼に入ったことによる相談が急増している。実際私も、病院勤務時代に何例か経験した。急いで眼科の先生にお願いして診察してもらったのを覚えている。お子さんが自ら触る以外にも、大人が噴射方法を間違えたり、自動噴射により眼に入ってしまうこともある。日本では、それで重篤な症状はないが、海外では、アルコール消毒が眼に入って、角膜潰瘍や結膜潰瘍の報告もあり、要注意である。

日常の中で、予想のつかないことが起こる。
私達周りの大人がしっかり注意しないといけないし、お子さんたちにもリスク回避をしっかり教えないといけない。

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Posted by さかざきひろみ at 16時22分   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

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