2024年08月03日(土)
びっくり! [クリニック情報]
少し前の話。
アメリカからの旅行中の14歳女子。
腹痛と吐き気、下痢で来院。
そして、便に虫がいるとのこと。
動画をとってきてもらったところ、
緑の下痢便のなかに、小さい白い虫がたくさんピチピチ動いている....。
まさか、まさか、ほんまに虫がいて、びっくり。
何か寄生虫のようだけど、見たことがない虫。
さすがに、うちのクリニックで対応できず、総合病院紹介した。
結果は、無鉤条虫。
サナダムシの一種。
原因は牛肉を生で食べるとリスクがあるらしい。
ウシなどの筋肉内に寄生した嚢虫を経口摂取して感染する。
症状は軽く、無症状、または虫体の片節が排便時にでて、腹痛、悪心、食欲不振などがある。
私が見たのは、虫さんの片節。
無鉤条虫の片節は他の条虫に比べて活発で、便中で動く虫体が見つかる。まさに、そのとおり。
成虫は、全長4 - 10mで、きっと小腸のなかにはそれがいるはず。
治療は、抗寄生虫薬のプラジカンテル(ビルトリシド)。
この子は日本で牛肉の生を食べたらしいけど、普通は2−3週間たたないと成虫にならない
となると、母国で感染して、日本で旅行中に発症したと考えられる。
他の条虫(サナダムシ)は、
生の豚肉の場合は、有鉤条虫。
魚のサケ・マスの場合は、広節裂頭条虫などがある。
色々生で食べるのはリスクが高い。
Posted by さかざきひろみ at 18時42分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
2024年08月01日(木)
名前は可愛いけど
ラプンツェル症候群なるものがある。
グリム童話の髪長姫。
とても可愛いイメージだが、実はとても怖い病気。
自分の髪を抜かずにはいられない「抜毛症」と、抜いた毛を食べ続けてしまう「食毛症」が合併して発症する。
食べた毛髪がボール状の塊となって胃に留まり、石のような塊ができる。
これを「毛髪胃石」という。さらに、毛髪の束が十二指腸や小腸や大腸にまで広がることもあるとのこと。
毛髪胃石が大きくなると、腹痛や悪心、おう吐、食欲不振、腹部不快感、体重減少などの症状が現れる。
また、腸閉塞や潰瘍、穿孔を合併して命にかかわることもある。10代の女の子に多いらしい。
他にも可愛い名前の病気がいろいろある。
ピーターパン症候群:身体的にはもう大人なのに精神的には子供のまま成長できない。パーソナリティ障害のひとつで、男性に多い。
シンデレラ症候群:男性に対して高い理想があり、同時に他人への依存性が高く、自立心がない。お姫様願望が強い。
白雪姫症候群:自身が母親から虐待を受けて育ち、大人になって自分の子供に虐待をしてしまう。
サザエさん症候群:日曜時のその時間になると翌日から学校や仕事がまた始まることを実感し始め、憂鬱な気分になること。
不思議の国のアリス症候群もふくめて、名前は可愛いけど、どれもちょっと大変かも。
Posted by さかざきひろみ at 18時04分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
2024年07月28日(日)
何を食べたら?
1日に必要な鉄の量は以下のとおり。
思春期の時期とママ世代はとってもたくさん摂取が必要。
鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄がある。
動物性蛋白に含まれるのは、ヘム鉄で身体に吸収されやすい。
一方、非ヘム鉄は、たくさんとっても身体に吸収されにくい。
実は、病院で処方される鉄のお薬は非ヘム鉄になる。だけど、ビタミンCを多く含む食品と非ヘム鉄を一緒に摂取すると鉄の吸収率は上がる。ビタミンCを多く含むのは、ピーマン、ブロッコリー、キウイなど。
そして、下の表は、1回に食べる食品にどのぐらいの鉄が含まれるか。
鶏レバーが一番、鉄の量が多い。
お値段も牛肉に比べて安い。
豚肉<鶏肉<牛もも肉<鶏レバー。
鶏肉や豚肉は鉄分が案外少ない。
思春期の時期は、牛肉150g(4mg),鶏レバー30g(2.7mg),卵1個(1mg),納豆30g(1mg),あさり30g(1.1mg)+αで何とか、1日10mgとなる。
もし鶏レバーが食べないなら、牛肉が250gも必要。
鶏肉だけなら、500gも.....。
何よりも、小さいときからバランスのよい食事をとるということが一番大切。
Posted by さかざきひろみ at 19時20分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
鉄が足りない!
最近、とっても鉄欠乏性貧血のお子さんが多い。
特にHBが正常でもフェリチンがとっても低い。
4以下のお子さんもいる。
ヘモグロビンは血液の中の鉄で、身体のすみずみに酸素を運ぶ役目をしている。
一方フェリチンは、貯蔵鉄で、いざというときに鉄を補給してくれる。わかりやすく例えるとお財布の中のお金がヘモグロビンで、銀行に預けているお金がフェリチン。
ヘモグロビン(g/dl)の年齢別正常値は、
6ヵ月〜4歳:11以上
5-11歳:11.5以上
12-14歳:12以上
15歳以上の女性12以上 15歳以上の男性13以上
妊娠女性:11以上
ちなみにフェリチンの正常値はさまざまで、だいたい男子は50以上、女子は30以上を目指している。しかし、欧米では100以上とも言われている。
また、感染症などで、鉄過剰でなくてもフェリチンの値は高くでることがあるので、注意が必要。
乳児期と思春期は、成長がすごいので、貧血になりやすい。
乳児期後半になっても、母乳ばかりで離乳食を全く食べないお子さんは貧血になっていることが多い。
赤ちゃんの場合は、貧血があっても比較的元気なので見た目だけではなかなかわからない。
たまたま、熱が続くため血液検査をしたときなどに見つかる。
貧血になると、体の色々なところへ酸素を運ぶ量が減ってしまう。特に脳に影響がでやすく、精神神経の発達に影響が出る可能性がある。
きーきー言ったり、夜泣きがひどかったりする場合もある。
思春期も体が急に大きくなるので、鉄の必要量が増える。
この時期に激しい運動をしているのに、食べる量が少なかったり偏食だったり、過激なダイエットをすると、あっという間に貧血になってしまう。
それ以外の時期でも貧血のお子さんがいる。
顔色が少し悪く疲れやすいので
「ご飯ちゃんと食べてる?」とお聞きすると
「お菓子しか食べません。」
「ジュースばかり飲んでます。」という場合もあるが、
「この子、食べるときは食べるんですが、食べないときは全然なんです。」という答えも多い。
たくさん食べていて、太っていても炭水化物ばかりだと貧血になりやすい。
鉄欠乏性貧血とわかったら、食生活を見なおして、鉄分を多く含む食品なども積極的に摂取することが必要になる。
しかし、貧血の程度が強いと、食事だけで回復することは難しいので一緒に鉄のお薬も必要。
どんな食品に鉄がどのくらい含まれているかについては、次回に。
Posted by さかざきひろみ at 15時46分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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