2022年12月06日(火)

葛根湯医者 [漢方薬]

江戸時代の落語に「葛根湯医者」というのがある。

「おまえどうしたんだ? どっか悪いのか?」
「先生ね、あっしはあたまが痛くてしょうがないんですよ?」
「それは頭痛だ。葛根湯あげるから、それおあがり」

「あっしは、はらが痛いですよ」
「それは腹痛だ。葛根湯あげるから、おあがり」

「あっしは、あしが痛いんですよ。」
「それは足痛だ。葛根湯あげるから、おあがり」

「あっしは、兄貴が足が痛いって言うんで、一緒についてきたんですよ。」
「あー付き添いか。退屈だろう。葛根湯おあがり」


これは、どんな人にも葛根湯をだしてしまう藪医者の話のようにもみえる。たけど、葛根湯は非常に応用範囲が広く色々な症状にも有効という意味でもある。

付き添いの退屈な人には、葛根湯はさすがに効かないけど、
もしかして、冬で冷えていたら体は温まったかもしれない。

葛根湯に結構広い効能があるということは、昔からわかっていたよう。
1800年前のお薬が、今、新型コロナウイルス感染症の初期に使われて、すこし品薄になっている。
ほんとにおもしろい。

最後に風邪のときの葛根湯内服の注意点。
@飲む時期は
 汗をかく前、寒気がして首筋から背中が凝るときが一番有効。この時期は、風邪のごく初期なので、風邪をひいたなかな、ぞくっとしたときになるので、あらかじめ葛根湯を常備したほうがよい。
A飲み方として、熱いお湯に溶いて、食前か食間に飲むのが一番効果的。さらにそこにショウガをすって入れると、とってもよい。だけど、そんなのめんどくさいということになれば、別に食後にそのまま飲んでも大丈夫。
B胃腸が弱くて、体力のない人は、飲まないほうがよい。
 そんな人は、桂枝湯や麻黄附子細辛湯、または香蘇散。
C元気なお子さんは麻黄湯のほうが有効。

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Posted by さかざきひろみ at 20時13分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2022年12月04日(日)

多成分系 [漢方製剤]

西洋薬は人工的に合成され一つの成分の薬剤なのに対して、
漢方薬は生薬の組み合わせ。
したがって、一つの成分でなく多成分系となる。
だから、ひとつのお薬が色々な症状に有効であったりする。

ちなみに生薬というのは、漢方薬を構成する原料。
自然界に存在する植物の葉や根や茎や、また他にも動物や鉱物に由来するものもある。

例えば、@葛根湯は7つの生薬の組み合わせとなる。

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葛根が首や背中のこわばりをとって、麻黄と桂皮は解熱鎮痛作用、抗炎症作用がある。芍薬は痛み止めでもあり、さらに大棗、生姜、甘草には胃腸機能を改善する。
また、体の内部を温める作用もある。

色々な生薬の組み合わせなので
葛根湯は、風邪のひきはじめだけでなく、結膜炎、中耳炎、扁桃炎、さらに乳腺炎、リンパ腺炎、肩こり、上半身の神経痛、じんましんなどたくさんの効能がある。
耳下腺炎、おたふくかぜの急性期や筋緊張性頭痛にもよいことがある。

北海道の井齊先生は、胸から上の炎症には、なんでも有効といわれていた。

ただ、漢方薬を選ぶ時は「体質」がとても大事なので、誰にでも有効というわけでない。
これも西洋薬と違うところ。
西洋薬では、解熱鎮痛剤はみんなアセトアミノフェン。
虚実は関係ない。

だけど、漢方薬は体質を見極めて処方することが大切。

Posted by さかざきひろみ at 19時55分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2022年12月03日(土)

外来状況 [クリニック情報]

12月になって、急に寒い。
11月が比較的暖かかったから、よけい寒さを感じる。

外来では、お熱のお子さんは少ない。
インフルエンザは今週はゼロ。
新型コロナは週後半にかけてやや増加傾向。
小学校や中学校ではやっているところがあるらしい。
保育園や幼稚園では、それほど流行していない。

小さいお子さんたちは、パパやママがかかってうつる家族内感染のほうが多い。

「グリフォン」とか「ケルベロス」とか、いろいろな名前がついた変異株も話題になっている。

「ケルベロス」は、オミクロン株「BA.5」から複数の変異があり、ギリシャ神話に登場する一つの体に3つの頭がある怪物の名が付けられた。正式名はBQ.1.1。フランスやニューヨークなどで流行している。

「グリフォン」は、「BA.2」からの2つの異なる系統が交わってできたことから、神話に登場する上半身がワシ(あるいはタカ)で下半身がライオンの生物の名前がつけられた。正式名はXBB。これはシンガポールやインドで流行している。

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ケルベロス

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グリフォン


ウイルスは生き延びていくために、変異を起こしながら姿を変えるので、ほんとにきりがない。

しかし、変異株は「重症化はしにくい可能性もある」ともされる。

新型コロナもインフルエンザと同じ、5類相当に見直しも検討されている。今年はあと少しなので、このままだけど、来年になったら色々変わっていくかな。

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Posted by さかざきひろみ at 19時45分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

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