2022年12月04日(日)

多成分系 [漢方製剤]

西洋薬は人工的に合成され一つの成分の薬剤なのに対して、
漢方薬は生薬の組み合わせ。
したがって、一つの成分でなく多成分系となる。
だから、ひとつのお薬が色々な症状に有効であったりする。

ちなみに生薬というのは、漢方薬を構成する原料。
自然界に存在する植物の葉や根や茎や、また他にも動物や鉱物に由来するものもある。

例えば、@葛根湯は7つの生薬の組み合わせとなる。

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葛根が首や背中のこわばりをとって、麻黄と桂皮は解熱鎮痛作用、抗炎症作用がある。芍薬は痛み止めでもあり、さらに大棗、生姜、甘草には胃腸機能を改善する。
また、体の内部を温める作用もある。

色々な生薬の組み合わせなので
葛根湯は、風邪のひきはじめだけでなく、結膜炎、中耳炎、扁桃炎、さらに乳腺炎、リンパ腺炎、肩こり、上半身の神経痛、じんましんなどたくさんの効能がある。
耳下腺炎、おたふくかぜの急性期や筋緊張性頭痛にもよいことがある。

北海道の井齊先生は、胸から上の炎症には、なんでも有効といわれていた。

ただ、漢方薬を選ぶ時は「体質」がとても大事なので、誰にでも有効というわけでない。
これも西洋薬と違うところ。
西洋薬では、解熱鎮痛剤はみんなアセトアミノフェン。
虚実は関係ない。

だけど、漢方薬は体質を見極めて処方することが大切。

Posted by さかざきひろみ at 19時55分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2022年12月03日(土)

外来状況 [クリニック情報]

12月になって、急に寒い。
11月が比較的暖かかったから、よけい寒さを感じる。

外来では、お熱のお子さんは少ない。
インフルエンザは今週はゼロ。
新型コロナは週後半にかけてやや増加傾向。
小学校や中学校ではやっているところがあるらしい。
保育園や幼稚園では、それほど流行していない。

小さいお子さんたちは、パパやママがかかってうつる家族内感染のほうが多い。

「グリフォン」とか「ケルベロス」とか、いろいろな名前がついた変異株も話題になっている。

「ケルベロス」は、オミクロン株「BA.5」から複数の変異があり、ギリシャ神話に登場する一つの体に3つの頭がある怪物の名が付けられた。正式名はBQ.1.1。フランスやニューヨークなどで流行している。

「グリフォン」は、「BA.2」からの2つの異なる系統が交わってできたことから、神話に登場する上半身がワシ(あるいはタカ)で下半身がライオンの生物の名前がつけられた。正式名はXBB。これはシンガポールやインドで流行している。

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ケルベロス

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グリフォン


ウイルスは生き延びていくために、変異を起こしながら姿を変えるので、ほんとにきりがない。

しかし、変異株は「重症化はしにくい可能性もある」ともされる。

新型コロナもインフルエンザと同じ、5類相当に見直しも検討されている。今年はあと少しなので、このままだけど、来年になったら色々変わっていくかな。

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Posted by さかざきひろみ at 19時45分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2022年11月29日(火)

インフルエンザの新しい診断機器

のどの写真でインフルエンザが診断できる機器「nodoka」が登場した。
実は、5月に薬事承認されていたが、12月より保険適用も開始。
専用カメラで患者さんののどの写真をとって、そのデータと、体温や問診などのデータと組み合わせて、AIがインフルエンザかどうか判定する。
対象は6歳以上で、時間も数秒〜数十秒で結果がわかるとのこと。
AI医療機器を用いた診断が公的保険に適用されるのは日本発らしい。

実際、インフルエンザの患者さんののどを診察すると、のどの奥の壁(咽頭後壁)のリンパ濾胞が腫脹して、イクラのように見えることが多い。
東大出身のDrが企業した医療機器ベンチャー アイリスが、このインフルエンザののどの所見とAIを組み合わせて、「nodoka」を開発されたとのこと。
約100病院から、計50万枚を超える咽頭画像を集めて、AIに読み込ませた。

実際はこんな感じ。

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Med it tech より

6歳以上のお子さんで、鼻の検査をとても嫌がるお子さんには、痛くないし、のどをみせるだけでいいので、楽かもしれない。
6歳以上でも、のどの奥を上手に見せることができないお子さんにはむつかしいかな。 

ただ、数秒から数十秒、発症早期でも診断できるとなると、とても魅力的。

陽性一致率(感度)76%、陰性一致率(特異度)88.1%なので、精度も結構高い。
普通のインフルエンザの鼻の検査の感度は60%ぐらいともいわれているので、かなりよいということになる。

ただ、新型コロナも同時に検査するとなると、結局鼻の綿棒検査も必要となるけど。

あと、価格はどれぐらいなんだろう??

それにしても、すごい機器ができた。
これから、ほかのウイルス診断なんかもAI診断が増えるのかな。

Posted by さかざきひろみ at 19時18分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

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