さかざKIDSブログ

2022年05月03日(火)

deconditioning(デコンディショニング)

小児科学会でのオンデマンド。
起立性調節障害(OD orthostatic dysregulation )のお話し。

ODは様々な原因で自律神経の働きが悪くなって、立った時に身体や脳の血流が低下する病気。

運動不足、夜更かし、長時間の臥床といった生活様式でODのお子さんがさらに増えている。

治療に関しては、まずは生活様式をかえることが大切。
薬物療法よりも、非薬物療法がより重要で優先される。

今回は、運動療法と水分摂取治療のお話がメイン。

ずっと寝ていては、症状はどんどん悪くなる。
ODのお子さんが、運動不足になるとdeconditioningによって、さらにOD症状を悪化させる。

deconditioningとは、身体を動かさないことによって引き起こされる筋、骨格、循環、呼吸機能などの身体機能の変化のこと。極端にいえば、ご老人のフレイルに近い。
10代のお子さんがフレイル、廃用症候群に近い状態になるなんて....。

健康な体育会系の成人でも10日間もベッドから動かないでいると、deconditioningとなって、ODを発症してしまうらしい。
コロナに罹患すると10日間自宅療養が必要なので、これもリスク。またコロナ禍でクラブがなかったり、学校に行けなかったりしたので、さらにODの患者はどんどん増えてている。

演者の石崎先生は、学校にいけなくても少しでも外にでて散歩したりすることが大切といわれていた。それで重症で全く動けない方に対して、寝ながらできるエルゴメーターを紹介されていた。寝ながらやって、慣れてきたらだんだん、頭をおこせる機器を取り入れていらっしゃるとのこと。

また、ODの方はあまり水分もとらないし、食事も少ないことが多いため、身体の中の循環血液量がとても少なくなっている。
そのため、水分摂取も治療に欠かせない。
deconditioningによって、さらに循環血液量が低下し、脳血流も低下する悪循環をおこす。

水分摂取は具体的には、1日2Lも頑張って飲まないといけないそう。しかも、血管内の血液量を増やすために塩分摂取も必要。
さらに、飲めない場合は生理的食塩水の点滴。
今回の学会では0.5-2Lもの生理的食塩水の点滴治療をされていた。これで、2-3日は元気になるお子さんもいるそう。

動くというのは、ほんとに大切。
家でじっと、動かないというのは身体によくない。
そうわかっていても、それが習慣になってしまうと難しい。
少しでも歩く、動くという習慣も身に着けたい。

Posted by さかざきひろみ at 21時02分   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

トラックバック

トラックバックURL

http://www.sakazakidsblog.com/tb.php?ID=2987

コメント

コメント投稿フォーム

名前:(この情報をCookieに保存させたい場合にチェック)
メールアドレス: (表示はされません)
URL: (名前にリンクされて利用されます)
コメント:
パスワード: (削除時に利用)

ページのトップへ ページのトップへ

5

2022


1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

検索


カテゴリーリスト

最近の記事

最近のコメント

RSS1.0

[Login]


powered by a-blog
Copyright (C) 2006 さかざKIDSブログ All right reserved.2006 Sakazaki Kodomo Clinic.