2022年05月10日(火)
謎の
世界で原因不明の謎の小児の肝炎が話題になっている。
現在、この肝炎については世界中で228件の報告がある。
そのうちの約10%が肝移植を必要としている。
嘔吐、下痢といった胃腸炎症状をおこしたあとに、黄疸、倦怠感がでてくるケースが多いらしい。
アデノウイルスが検出されるケースが多く、F41と呼ばれるアデノウイルスが原因である可能性が高いとみているが、今のところ確定ではない。
アデノウイルス41型は以前からあって、感染すると下痢・腹痛・嘔吐などの胃腸炎症状を起こしやすい。今までのアデノウイルスによる肝炎は、免疫が弱っている人では報告があるが、元気なお子さんではすごくまれ。
コロナ禍で、外出をさけて自宅にいることが多いため、お子さん達の免疫力が低下しているのが原因かもと言われている。実際に、コロナでロックダウン(またはそれに近い政策)を行った国での発症が多いとのこと。
胃腸炎症状がでたからといって、突然肝炎になるわけでない。
嘔吐下痢などの症状のあとに、いつまでもしんどそう、目が黄色い(黄疸)などの場合が要注意。
謎とは関係ないが、私が小児科医になって、経験した肝炎で一番ひどかったのはB型肝炎ウイルスによる劇症肝炎。
4歳ぐらいの男の子で、最終的に生体肝移植しか救命できないとのことで、専門病院に転院されたのと覚えている。
C型肝炎は、私が医師になった当時は、NonANonB肝炎といわれていた。ほとんどが輸血によるものだった。黄疸がでるほどひどくなる子はいなかった。そのころは治療法もなくて、強ミノの静脈注射を毎日のようにしていた。
あとは、A型肝炎も何例か経験した。
生ガキを食べて発症した子もいて、肝機能の数値も3桁で黄疸も強かったが、入院治療で全例軽快した。
肝臓は、とても大切なところ。
そこに炎症がひどくおこると、様々な症状がでてくる。
謎の肝炎が、早く謎でなくなり、原因や対処法がはっきりすればいいのだが。
今は、エゴノキが満開。
白くて可愛い。
Posted by さかざきひろみ at 18時50分 トラックバック ( 0 ) コメント ( 4 )
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コメント
ぜひ、楽しくプールに行ってくださいね。
先生、お忙しい中ご返信ありがとうございます。
大変安心できました。
大好きなスイミングを思い切りさせてあげられます!
プール熱(咽頭結膜熱)は主にアデノ3型が原因で、実はアデノウイルスは50種類ぐらいあります。また、プール熱はプールだけでうつるだけでなく、幼稚園や学校などでも飛沫や接触感染の機会はあります。スイミングは全身運動で、とてもよいと思うので、本人が好きなら気にしないでいってもよいと思います。手洗いなどの通常どおりの感染対策でよいです。
いつもブログ読ませて頂いています。
幼稚園の娘がスイミングを習っていますが、プール熱はアデノウイルスが原因と聞いて通いつづけて良いのか不安に思っています。
プールとの付き合い方、コメントのお返事でなく、ブログの記事でもよいので触れて頂けたら嬉しいです。