2023年01月31日(火)
5番 [漢方製剤]
4番は欠番で3番の次は5番、安中散。
「中」というのは、おなかで 東洋医学では中焦のこと。
場所は、 臍から横隔膜までの腹部。
ちなみに臍から下の腹部は下焦といい、横隔膜より上は上焦という。
おなか(胃)を安らげる、安定させるという意味で、安中散。
やせ型で冷え症、ちょっと弱った人の胃痛、胃炎に有効。
粉薬だけでなく、カプセルもあるので、飲みやすい。
ツムラさんの1包が、コタローさんの2capになる。
構成生薬も赤の温めるものが多い。
延胡索は鎮痛作用が強い
茴香はフェンネル。これそのものが胃薬。
また、安中散は胃痛だけでなく、生理痛にも有効。
頓服で安中散を飲んでいる方もいる。
ちなみに、OTCで
武田漢方胃腸薬Aは安中散そのもの。
太田漢方胃腸薬は安中散+茯苓
大正漢方胃腸薬は安中散+芍薬甘草湯。
Posted by さかざきひろみ at 19時03分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
2022年12月15日(木)
ほとんど使わないけど [漢方製剤]
ほとんど処方しないけど、たまに出番がある薬。
B乙字湯。
痔で悩んでいる方に処方したことがある。
これ単独よりは、痔を「おけつ」と考えて、㉕桂枝茯苓丸を併用するとより効果的。
ただ、お子さんには処方したことがないし、出番がない。
乙字湯には、柴胡と升麻が入っている。
これは㊶補中益気湯にも含まれる。
作用としては、下がっているものを持ち上げる作用(升堤作用)がある。すなわち、肛門が下がっている状態の脱肛に有効。
さらに、血のめぐりをよくして、抗炎症作用、鎮痛作用もある。
ただ、下剤の大黄が入っているので、下痢になってしまうこともあるので、要注意。便秘傾向のある人に処方するほうがよい。
痔の薬なのだけど、以前ある先生が、難治性の陰部掻痒症に劇的に有効だったという話をされていた。
また、太田黒先生は、何を処方しても無効だった方に、番号順に処方してみたら、3番の乙字湯が著効したという話をされていた。
あまり処方しないけど、知っておくと便利な漢方薬のひとつ。
時々、こうやって番号順に解説してみようかな。
Posted by さかざきひろみ at 20時29分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
2022年12月11日(日)
緑の2番 [漢方製剤]
@葛根湯つながりで。
A葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)というのがある。
葛根湯に川芎と辛夷が加わっている。
川芎は、セリ科のセンキュウの根っこで、血のめぐりをよくして、また鎮痛作用もある。
辛夷はコブシのつぼみで、鼻の通りをよくする。
川芎と辛夷は気の巡りをよくして、頭痛にも効果あり。
ちなみに葛根湯は傷寒論が原典で1800年前のくすり。
葛根湯加川芎辛夷は、日本の江戸時代に作られたくすり。
これは、鼻閉メインで鼻水がねばっこいときに有効。
今、鼻がつまって、夜に口をあけて寝ているので、のどが痛くなる方が多い。
鼻づまりが辛そうなときによく処方している。
しかも錠剤があるので、大きいお子さんは飲みやすい。
これは、うちのクリニックで一番処方件数が多く人気の漢方薬。
葛根湯のデラックスバージョンともいえる。
漢字が難しいので、「緑のください」とか「2番ください」といわれる。
ちなみに、透明の鼻水がだらだらでて冷えがある場合は、R小青竜湯。
とっても冷えが強い鼻水でのどいがいがには127麻黄附子細辛湯。
黄色い鼻水がねばねばで、副鼻腔炎がひどそうなときは104辛夷清肺湯になる。
さらに、葛根湯加川芎辛夷を飲んでも、鼻閉が苦しくて泣くというほどの訴えがあるときは、㉘越婢加朮湯を頓服で。
同じ鼻水でもお薬は色々変わる。
ただ、辛夷が入っている漢方薬は苦くて飲みにくい。
小さいお子さんの鼻づまりには㉗麻黄湯のほうが飲みやすいかな。
Posted by さかざきひろみ at 19時53分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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