2023年02月18日(土)

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)

久しぶりに特発性血小板減少性紫斑病(ITP)のお子さんを診た。
主訴は、嘔吐下痢が少し前にあって、胃腸炎かもということで受診された。
本人はニコニコしてとっても元気。

ただ、口の中に出血斑。
本人も「ちょっと前から口に血豆がある」と。
他のところにないか、体をみてみると、下肢に点状出血斑が。これは、本人も気づいてなかった。

急いで血液検査をしたら、血小板が7000しかない。
正常値は20万以上。

血小板が1万以下になると、口腔粘膜に出血斑がでてしまう。
血液検査で、白血球や赤血球、へモグロビンも正常で本人が元気なので、これは悪性のものではなく、おそらくITP。

血小板がかなり低いので入院加療をお願いした。

原因は、ウイルス感染のあとなどに、自分の血小板に対する抗体ができて、血小板が脾臓でつぶされるため、血小板が減少してしまう。お子さんは急性がほとんどで、半年以内に治ることが多い。

鼻血が止まらないということで来院される場合もあるが、今回のケースは、口の中の出血斑に気づかなかったら、そのまま帰宅されていたかもしれない。

治療はガンマグロブリン大量療法かステロイド。
今回はガンマグロブリン大量療法で、あっという間に血小板が増えて、退院された。

しかし、何度も再発する慢性ITPのお子さんもいる。
その場合は、脾臓を摘出していたけど、今はほかにもいろいろ薬がでているよう。

そういえば、まだ医師になって、5−6年目のころ、慢性の血小板減少性紫斑病の女の子がいた。色々な治療に抵抗して、再発を繰り返し、あとは脾臓摘出しかなかった。手術は保護者の方が納得されなかったので、上の先生に言われて加味帰脾湯を処方したことがある。

その時は、なんで漢方なんかと思っていたが...。
加帰脾湯は、主には体力のない人のメンタルに対するお薬。
参耆剤でもあるし、柴胡も含まれる。ほかには、補血、補脾作用のあるものも含まれる。さらに、血小板増加効果もあるらしい。
漢方薬は生薬で構成されていて、多成分。
様々な効果、予期せぬ効果がでることも結構多い。

Posted by さかざきひろみ at 19時44分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2023年02月16日(木)

カフェイン

8歳の子がエナジードリンクでカフェイン中毒。
その記事が日本小児科学会誌に掲載。

近所にある自動販売機で、エナジードリンク500mlを購入して、一気にすべて飲んで、その後嘔気が持続。
幸いなことに重篤な症状はなかった。
ちなみに、私はエナジードリンクなるものを知らなかった。

エナジードリンク500ml中にカフェイン210mg含まれる。
カナダ保健省によるとカフェイン摂取量に関しては、
MAXが4-6歳45mg/日、7-9歳62.5mg/日、10-12歳85mg/日までとのこと。

これによると、カフェイン摂取最大量の3倍を超えた量を飲んだことになる。
大人だと、カフェイン中毒の診断基準は250mg以上。

カフェインの過剰摂取による中毒症状は、
 吐き気、嘔吐、手足のしびれ
 動悸、悪寒
 意識消失
 さらに心肺停止に至ることもある。


実際に、2015年には、エナジードリンクを日常的に飲んでいた20代の男性がカフェイン中毒で死亡したという報告もある。

他の飲み物では、100gあたりコーヒー60mg、ウーロン茶20mg、玄米茶10mg、紅茶30mg。

コーヒーも毎日5−6杯も飲んでしまうとカフェイン依存になってしまうかもしれない。
また、エナジードリンクはジュース感覚で飲めて、普通に自販機で買うことができるので、特に注意が必要。

画像(180x240)・拡大画像(480x640)

Posted by さかざきひろみ at 20時01分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2023年02月14日(火)

腎の衰えは7番 [漢方製剤]

7番は八味地黄丸(はちみじおうがん)。
CMなどで、さかんに宣伝されているので、ご存じの方も多いかも。

画像(121x180)
画像(126x180)・拡大画像(450x640)

これは、腎が衰えた時(腎虚)のくすり。
他にも、87六味丸、107牛車腎気丸がある。

腎というのは、西洋医学の腎臓と違って、
東洋医学では、成長・生殖・老化など生命力、水分代謝機能を司るところ。
ここが衰えると、老化現象 夜間頻尿 腰痛 手足のしびれやほてりが起こってくる。

すなわち、簡単にいうと、年をとって衰えてきた色々なトラブルに対する薬。
どちらかというと高齢者の男性、イメージとして、弱った男性と男性機能。
弱った女性に処方されることも多い。
ただ、必ずしも高齢者だけということでもなく、若い人でも腎のエネルギーが衰えると処方される場合もあるとのこと。

小腹不仁というのは、臍から下の下腹部における筋肉が低下しており、押すと簡単にへこみを生じること。
高齢者の方に結構見られることが多い。

画像(320x215)・拡大画像(553x372)

構成生薬は8つ。
地黄+山茱萸+山楽は、補気強壮薬。腎を補って元気にする。
沢瀉と茯苓は水のバランスを整える。
牡丹皮は血のめぐりをよくする。
桂皮と附子は体を温める。附子は最強の温薬。
したがって、冷えている人の薬となる。

八味地黄丸=六味丸+桂皮+附子。
牛車腎気丸=八味地黄丸+牛膝+車前子。

腎虚があっても冷えてない人は六味丸。
ちなみに、牛車腎気丸は、腎虚でむくみがあって、体の節々が痛いとき。

私があまり処方しない薬だが、こうやってまとめると勉強になる。

Posted by さかざきひろみ at 20時24分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

過去の記事へ

ページのトップへ ページのトップへ

2

2023


      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        

検索


カテゴリーリスト

最近の記事

最近のコメント

RSS1.0

[Login]


powered by a-blog
Copyright (C) 2006 さかざKIDSブログ All right reserved.2006 Sakazaki Kodomo Clinic.