2023年12月03日(日)

マイコプラズマ感染症

現在中国や韓国で大流行しているマイコプラズマ感染症。

過去には2011年(このときは愛子さまも罹患)、2015年、2019年に流行。なぜかマイコプラズマは4年に1回流行する。
典型的なマイコプラズマは頑固な咳。
とにかく咳がひどい。

マイコプラズマとは?
ウイルスと細菌の中間の性質と大きさを持つ病原体で、肺炎、気管支炎などおこすが上気道炎症状のみのお子さんもいる
感染経路 
@咳・くしゃみなどの飛沫感染
A病原体がついた手で目や口、鼻などを触ることによる接触感染
潜伏期間 2〜3週間。他の感染症に比べて長いのが特徴。
症状
長く続くひどい咳(はじめ乾燥した咳→痰がらみの湿ったしつこい咳)外来で待っている間もとにかくずーっと咳がとまらない。昼間はほとんど咳はなく、朝夕だけというのはおそらくマイコプラズマではない。
また、咳は発熱から遅れて始まることも多い。
発熱
大きいお子さんでは熱もなく元気で、咳だけが続いていることもある。乳幼児はかかっても肺炎にならずにカゼで終わることが多く、 年長児の方が肺炎になりやすい傾向にある。
マイコプラズマになって、肺炎になるのは、全体の3-5%ともいわれている。
発疹がでることもある。
診断
レントゲン撮影で特徴的な肺炎像があり、上記のような症状があれば推測できる。
迅速診断できる方法(イムノカード・マイコプラズマ抗体)もあって、クリニックでは主にこれを使用している。しかし、感度が低く偽陰性にでることもあるので、注意が必要。また、のどの奥を綿棒でゴシゴシするので、お子さんにとっては、辛い検査。本当に必要な場合だけに検査をするべきと思う。ただ、総合病院では、特殊な遺伝子検査機器があって、確定診断できている。現在は、それで見つかるケースが多いという。
治療
以前はマクロライド系が第一選択であったが、耐性の場合もある。今中国で流行しているのは耐性が多いらしい。
しかしだからといって、軽症例にミノマイシンやオゼックスなどのニューキノロン系を安易に使ってしまうと、さらに多剤耐性のマイコプラズマになる可能性があるので注意が必要。また、ミノマイシンは9才未満の小さいお子さんは歯が黄色くなったりするので、使えない。
また、病原体に対する体の免疫反応が強く出てステロイドが必要な場合もある。
自然治癒例もあるのでお薬は慎重に選びたい。

画像(180x240)・拡大画像(480x640)
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お家のハナミズキとイロハモミジがやっと紅葉。

Posted by さかざきひろみ at 17時23分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2023年12月02日(土)

中国における肺炎流行

あっという間に師走。
今年もあと1カ月。

中国で気になるニュース。
子どもたちの間で肺炎が大流行。

ニュースやSNSでの画像をみると、新型コロナの再来かと思われる混雑ぶり。

700人待ちとか、24時間待ちとか。
ちょっとありえないような状況。

原因としては、マイコプラズマ、RSウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルス。
その中でもマイコプラズマが多いとのこと。
WHOによると、未知のウイルスは検出されていない。

日本でも、今年はRSウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなどの呼吸器の感染症が大流行した。
他にも、ライノウイルスやパラインフルエンザウイルス。どれも咳がひどくなる。
今のところ、まだ日本で流行していないのは、マイコプラズマだけ。

3年前、中国の新型コロナウイルスを他人ごとのように思っていたが、その後大変ことになった。
実際、マイコプラズマ感染症は4年に1回流行する。
前回は4年前の2023年秋から冬にかけて。
マイコプラズマで学級閉鎖になったりしていた。

中国までとはいかないまでも、マイコプラズマの大流行が日本でも起こる可能性は十分にある。

今日の夕方ラン。
大阪市内だけど、紅葉がきれい。

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パパの大好きな鴨さんがいっぱい。
冬のランは空気が澄んでいて心地よい。
今日は6kmだけ。
このぐらいが身体に負担なく一番よい。

Posted by さかざきひろみ at 20時36分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2023年11月30日(木)

OD(over dose)

ODというと起立性調節障害を思い出すが、それではない。
over doseのODで薬物の過量摂取のこと。
とくに市販の一般用医薬品の過量内服が増えている。
最近では、新宿歌舞伎町のトー横で、OD目的で薬の売買が行われていたことが問題になっている。

薬局で販売されている薬のなかにも、1箱で中毒量・致死量になる製品はたくさんある。

H30年の調査では、10代の薬物障害関連の原因薬物は市販薬が最も多い。
また、2012年から2020年にかけて、「一般用医薬品を主たる薬物とする依存症患者」は約6倍に増加。
「薬物使用と生活に関する全国高校生調査2021」によると、「ここ1年以内で、市販薬の乱用経験がある高校生」は、約60人に1人(高校生の1.57%)の割合だった(詳しくはこちら

濫用のおそれがある医薬品は
エフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、ブロムワレリル酸尿素、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン、アセトアミノフェン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミンなど。

これらは、総合感冒薬や咳止め薬、抗アレルギー薬などに含まれている。

パブロンゴールドには、
ジヒドロコデイン8mg、メチルエフェドリン20mg、無水カフェイン25mg、アセトアミノフェン300mg入っている。
これを大量内服すると致死量となることもある。

ODの症状は、錯乱、酩酊、昏睡、幻覚、けいれん発作、さらに呼吸が遅く、苦しい、または呼吸停止になることも。

また、ODとして最近増加しているのは、デキストロメトルファン(メジコン)。
これは、ちゃんとした量で使用すれば全く問題ない薬で、副作用もほとんどない。脳の咳中枢に直接作用し,咳反射を抑える薬なので、大量に飲むと幻覚を誘発したり、興奮・錯乱状態になるといわれている。

精神科の先生によると、過量内服する患者さんは、大量に内服すると気持ちがよくなる。
それで大量に飲んでしまうとのこと。

これらはネットで購入できるものもある。
米国では依存性のある成分の医薬品は基本的にインターネットで購入できない。
日本でも一定の規制があったほうがよいとされている。
やはり、市販薬も危険だということをしっかり認識することが大切ではないだろうか。

Posted by さかざきひろみ at 19時24分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

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