2022年05月19日(木)
スマホと学力
小児科学会の教育講演「スマホと学力」。
国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)に
ギャンブルや薬物と同様の依存症として「Gaming disorder(ゲーム依存症、ゲーム障害)」が追加された。
ゲームは途中でやめられないように、作られているので、大人も子どもも夢中になってしまう。
外来でも、診察室にゲームしながら入ってきたり、診察がはじまっても、ゲームをやめられないお子さんも多い。
依存になってしまったら、確定した治療法もなく、とても難しい。そうならないようにするのが大切かと思う。
ゲームだけでなく、スマホも同じ。
長時間すればするほど成績が落ちるというデータを提示された。
通常は理性を保つために、前頭前野(思考や理性)が優位で大脳辺縁系(感情や本能)が抑えられている。ところが、ゲームをしているときは、大脳辺縁系が優位になっていて、前頭前野がおされられる。それで、欲求や行動が抑えられなくなってしまう。これは、ギャンブルやアルコール依存症と同じような状態。
また、辞書で調べるときは、前頭前野の血流がふえるが、スマホで調べたときは前頭前野の血流が低下し、動かない状態になる。スマホで調べたものは記憶に残らずにすぐに忘れてしまうし、結果、他の記憶も消してしまうらしい。
これからは、ゲームやスマホを全くさせないというのは無理になってくる。
ある程度の年齢がくれば、必要になってくるし、今後はスマホをうまく使いこなせるようにする必要もある。
しかし中学生3年生の3割がネット依存になっているとのこと。
講演の中で、あるアメリカで、スマホを13歳の子どもにわたすときの18か条というのを紹介された。
その契約書の中で、いくつかピックアップすると、
『*これは私のアイフォンであなたに貸してあげている
*学校があるときは午後7時30分まで休日は午後5時になったらママかパパにアイフォンを渡しなさい。
*人に面と向かっていえないことを、アイフォンを使ってメールで言わないでください
*スマホなしでも生活することを覚えてください。スマホを失うことをこわがるようなソーシャル依存症になってはいけません、
*言葉ゲームや難しいパズルを用いて脳を鍛えなさい
*問題があるときはアイフォンを没収します。そしてそのことについて一緒に話し合いましょう。』
これはすごいけど、
私も最初が肝心だと思う。
ゲーム三昧で外来受診された方に、「家族みんなで話し合って、ルールを決めて、目立つところにはっておいたら」と助言することもある。
本当は、最初にスマホやゲームをわたすときに、しっかりルールを決めて、それを守って使用する。
そんなふうに上手に使いこなしていくことがとても重要だと思う。
小さい子たちは大人がスマホを楽しそうに使っているのを見て自分も使いたくなる。
私も娘も孫っぴにスマホを見せていないが、なぜか指で動かすのを知っている。孫っぴの前では、できるだけスマホをしまって、彼との会話を楽しみたい。
Posted by さかざきひろみ at 19時34分 トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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