2023年05月28日(日)

子どもが朝起きなくなったときに聴く話

子どもの心研修会での上島医院の渥美正彦先生のご講演

朝起きなくなったというとODが有名だが、それだけでない。
1) 身体をおこせないのが起立性調節障害
2) 目が覚めないのは概日リズム睡眠覚醒障害
3)そもそも起きたくないのは心理社会的要因。
今回のご講演は概日リズム睡眠覚醒障害のお話がメイン。

人にはみんな、体内時計がある それは1日24時間でなく、ふつうは平均24時間10分ぐらい。
こどもは、それよりやや長く、毎日体内時計をリセットして、あわせているが、それができなくなると、概日リズム睡眠覚醒障害となる。

特に、14歳以上で0時以降
14歳未満で、23時以降に寝る場合になりやすいといわれている。
原因は
1) 夜型になりやすい思春期 この時期の有病率は3.3−4.6%
2) 体内時計が遅れる
3) 光への暴露 スマホが関係している可能性
4) 浅い睡眠など、睡眠の質の低下

治療については、
1) 行動修正
早く寝るのはなかなか難しく、すこしずつ早く起きるようにする。1週間に1−2.5時間ずつ早く起きる。
入眠2時間前からはスマホタブレットなどの光音を含む刺激活動を控える。
 Twitter tiktok youtubeも、どれも寝つきをわるくするが、この中で一番悪いのは短時間で次々画面がかわるTiktokとのこと。

2) メラトニン製剤
寝る前に内服するよりも、寝る2−3時間前に飲むほうがよい。

3) 朝は光をあびる
起きてから、2500ルクス以上の光をあびることが大切
室内は750ルクス
 外は9999ルクス 曇りでも7700ルクス。外の光が一番。
おきたら早期に屋外で30分程度自然光を浴びるのが一番。
この明るさは、スマホのアプリで簡単に計測できる。

4)夜は室内照明の明るさを抑えて、テレビ パソコン、スマートフォンの液晶画面を控える。


ちなみに、私もアプリで明るさを調べてみた。
朝6時だと、室内にいると759ルクスなので、外にでないと必要な光が浴びれない。

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午前6時の室内

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午前6時外


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午前11時室内

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午前11時外


上島先生は、適切な睡眠時間を知らない人が多いと言われていた。
適切な睡眠時間は、
大人7−9時間
13−17歳 8−10時間
6−12歳 9−11時間
3−5歳 10−13時間
1−2歳 11−14時間
1歳まで12−15時間

でも、実際はなかなかこんなに眠れていない方が多い。

さらに上島先生は神経発達症と睡眠についても話された。
注意欠如多動症(ADHD)の方の脳は、ノルアドレナリンとドーパミンを脳に十分ためておけない。それで、切れやすく多動になる。このホルモンは覚醒を促す脳内ホルモンなので、足りないと昼間が眠い。またメラトニンの分泌が遅れるため体内時計が遅れやすい。ADHDの人は、寝かせるのも起こすのも大変になる。

自閉症スペクトラム(ASD)は、メラトニンの量が少なく、特にピークの山が低く、メリハリがない。結果、遅寝遅起きになるそう。

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この本とっても面白い。
あと上島先生はyoutubeチャンネルも開設されていた。

これも、わかりやすくて面白い。

Posted by さかざきひろみ at 19時32分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2023年05月27日(土)

外来状況 [クリニック情報]

5月なのに、インフルエンザの集団感染のニュース。
この暑いのに、季節感が変。

新型コロナが5類になって、マスクを外す人が増え、さらに学校では、運動会、修学旅行などのも通常どおりになったので、その影響もあるかも。

大阪では、それほどでもないと思ってたけど、今週になって、流行している学校もでてきた。
今のところ、すべてインフルエンザA。

新型コロナは今週は1名のみ。

他には、溶連菌感染症がふえてきた。
コロナ禍になって、診ることが減っていたのだが、
これも、コロナ前にもどってきたよう。

さらに麻疹のニュース。

インドへの旅行した30代の麻疹に感染した方が、症状のある時に新幹線のぞみ50号の9号車に乗車。
神戸〜東京間で接触した東京都の30代女性(ワクチン歴なし)と40代男性(ワクチン歴不明)の2人に麻疹が発生。

それ以降は、それほど大きくは広がっていないよう。

麻疹は、新型コロナとは比べものにならないぐらい感染力が強い。しかも、重症化することが多い。
1歳以上のお子さんはワクチンを接種しているが、1歳未満のお子さんにとっては、ほんとに恐ろしいウイルス。
治療法がないので、ワクチン接種を徹底することが大切。
1歳になったら、年長さんになったらできるだけ早くMRワクチンをおすすめしたい。

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お庭では、なでしことバラが増生中。

Posted by さかざきひろみ at 19時58分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2023年05月25日(木)

18番 桂枝加朮附湯 [漢方製剤]

けいしかじゅつぶとう。

虚弱な人の風邪の初期に使う㊺桂枝湯に蒼朮と附子が加わった処方。

効能効果は関節痛と神経痛。

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附子というのは、トリカブトを減毒したもの。
生薬のなかで、一番体を温める作用がある。
さらに、強力な痛み止めの作用も。

したがって、冷えると関節が痛い。
冷え症があって、神経痛がある。
そんなイメージ。

ちなみに、関節の炎症がつよくて、局所に熱感がある場合は㉘越婢加朮湯。

通常の西洋薬の痛みどめは胃腸障害をおこすことがある。
しかし、漢方薬は、すでに胃腸機能を改善する生薬が入っていることが多い。
Q桂枝加朮附湯も㉘越婢加朮湯も、すでに大棗、生姜、甘草という胃腸機能改善作用のあるものが入っている。

色々な生薬の組み合わせで、効果を倍増、さらに副作用も軽減してくれる。これが漢方薬の利点。

Posted by さかざきひろみ at 19時12分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

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