2023年05月25日(木)

18番 桂枝加朮附湯 [漢方製剤]

けいしかじゅつぶとう。

虚弱な人の風邪の初期に使う㊺桂枝湯に蒼朮と附子が加わった処方。

効能効果は関節痛と神経痛。

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附子というのは、トリカブトを減毒したもの。
生薬のなかで、一番体を温める作用がある。
さらに、強力な痛み止めの作用も。

したがって、冷えると関節が痛い。
冷え症があって、神経痛がある。
そんなイメージ。

ちなみに、関節の炎症がつよくて、局所に熱感がある場合は㉘越婢加朮湯。

通常の西洋薬の痛みどめは胃腸障害をおこすことがある。
しかし、漢方薬は、すでに胃腸機能を改善する生薬が入っていることが多い。
Q桂枝加朮附湯も㉘越婢加朮湯も、すでに大棗、生姜、甘草という胃腸機能改善作用のあるものが入っている。

色々な生薬の組み合わせで、効果を倍増、さらに副作用も軽減してくれる。これが漢方薬の利点。

Posted by さかざきひろみ at 19時12分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2023年05月23日(火)

腸内環境とアレルギー

小児科学会での「アレルギー疾患の予防」のシンポジウムでのお話。

食物アレルギーの患者さんの腸内細菌叢では、酪酸酸性菌が低下している。
酪酸というのは、免疫応答の抑制にかかわっているのだが、これが少ないとアレルギー疾患になりやすい。

幼少時に、微生物との接触が少なく、清潔で綺麗な環境にいると、腸内環境が育たず、アレルギーになりやすい。
(腸内環境は他にもいろんな疾患と関連している)

アレルギーになりにくのは、兄弟が多い、ペットがいる、農村育ち、小さいころから保育園に通園している場合。

また、おしゃぶりの消毒ありとなしで比較すると、おしゃぶりの消毒をしたほうが、腸内環境が育たないのでアレルギーになりやすいとの結果。

他にも、帝王切開や2歳未満の抗生剤使用は腸内環境の乱れがおこる。

では、腸内環境をよくするには、どうしたらよいか。
1)プロバイオティクス(ビオフェルミンなどの乳酸菌製剤)は効果は期待できない。

整腸剤には1億〜10億個の菌数
便1gあたり、1000億個の菌数。
腸内細菌は100兆個ある。
整腸剤100g飲んでも便1gの細菌数なので定着は難しい。
プロバイオティクスの多くは通過菌となって、腸管内に定着しない。

2)プレバイオティクス(オリゴ糖、食物繊維など)は効果が期待できる。

高繊維食のマウスは腸管内の酢酸酸性菌が増加。
日本の健康成人の研究で、機能性大麦(バーリーマックス)の摂取で、腸管内の酪酸酸性菌が増加した。
機能性大麦は、一般的な大麦の2倍の食物繊維が含まれる。

プレバイオティクスを用いて、腸内の酪酸を増加させるとアレルギー予防につながる可能性があるとのこと。

生後3か月の便中酪酸濃度が低いと1歳の時の食物アレルギーが多いとのことだけど、赤ちゃんの腸内環境は、ママに影響されるので、ママの食生活や生活習慣もとても大切だと思う。

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Posted by さかざきひろみ at 19時16分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2023年05月21日(日)

ネット依存

「ネット依存の研究と学校での依存症教育」
 富山大学医学部 疫学健康政策学講座の山田正明先生のお話。

R3年の調査で平日のネットの平均時間は小学生207分、中学生259分、高校生330分。
こんなに長いとは....。
実際、ネット依存のお子さんたちが年々増えている。

「楽しい」「疲れない」「飽きない」の3項目がそろっているものが依存になりやすい。
昔のゲームは「飽きる」ので依存にならなかった。
勉強は「楽しくない」「疲れる」「飽きる」ので何時間しても依存にはならない。

依存のはじまりは、「わくわく、楽しい」と感じている状態で、脳内では快楽物質であるドーパミンが放出されている。普通の生活では、前頭葉(理性 がまん)がブレーキをかけている。
ただ、頻回のドーパミンの放出が続くと、前頭葉の機能が低下して衝動や欲望のコントロールができなくなり、依存症が進行する。

ネット依存症の脳はアルコール依存症の脳と同じように、脳が委縮している。

人間の脳は20歳にむけて大きくなる。
MRIで5−18歳の脳の発達とネット時間との関係を3年間追跡したところ、ネット利用をしない方は、50ml脳の体積が増える
時間がふえるほど、脳の体積の増えが減って、毎日ネット利用する場合は脳の体積が増えず成長しないことがわかった。これがほんとならほんとに怖い。

したがって、前頭葉がしっかりしている時に早期治療、または予防治療が必要となる。

ネット依存の予防について
1)ネットの危険性を知る
ネットはパチンコを超える依存分であって、子どもたちがお客としてターゲットになっていることをお子さん自身に伝える
2)ネットから物理的時間的に離れる ノーメディアデイを作る
利用時間は1日1時間以内にするのが大切。
3)親のネット時間を減らす

文部科学省の事業の結果から児童のメディア漬けに一番強い危険性を示したのは
1位 母のネット時間が平日2時間以上
2位 家庭内での約束がない
3位 父のネット時間が平日2時間以上
これらは、運動習慣がない、寝るのが遅いという項目より危険性が高かった。

ご両親のネット時間も減らして、お子さんと会話することがお子さんの成長に重要で、それがお子さんのネット依存を予防する一番の手段となる。

他にもネット時間が多いと
1)目が悪くなる 軸性近視がすすむ それが重症化(27mm)をこえると網膜の病気で失明する
2)目がずれて内斜視となると立体視できず、ボールがとりにくく階段が降りにくくなる。

久里浜医療センターにネット依存外来があり、そこに受診されるのが一番多いのは14−15歳、次に高校生、大学生が続くが今小学生がとてもふえているそう。
山田先生曰く「スマホで子守、10年後、100倍がえしで帰ってくる」
ちょっと言い過ぎかなとも思うが、この現実を知っておいたほうがよいと思う。

ただ、ネット依存になったらもうおしまいというわけでない。
ゲーム依存で自動相談所が入って、大変だったお子さんが、高校生になって、ちゃんと立ち治ったケースもある。小中学生のころ、ゲーム大好きだったけど、高校になって、「ゲームにはもう飽きた。なんであんなことに時間を使ってたんだろう。もったいない」というお子さんもいる。

ネットはとても便利で、それを避けて生活することは難しい。
ネットに使われるのではなく、こちらが主導で、うまく利用できるようにするべきだと思う。

そして、やはりネットの怖さを知っておきたい。

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今日は、お友達たちに紙芝居を披露。
いつもは、私や娘が彼に読んでたのだけど。
彼の紙芝居は創作で、なかなか面白い。

Posted by さかざきひろみ at 19時31分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

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