2023年02月12日(日)
思春期の月経トラブル
今年は小児専門医の更新。
5年に1回の更新が必要。
更新に気づいたのは、昨年末。
色々ポイントがあるのだけど、あと11ポイント足りない。
小児科学会の専門医セミナーを拝聴して、テストに合格したら、1ポイント。あと11時間か......。
でも、このセミナーはとても勉強になる。
昨日、拝聴したのは、「小児科医に伝えたい思春期婦人科疾患 」大阪市中央区のこうむら女性クリニックの甲村弘子先生。
思春期の月経異常について、以下の2つについて話された。
1)無月経
2)月経困難症
1)無月経
「まだ生理が来ないんですが」と外来でも時々相談される。
原発性無月経の定義は18歳だが、甲村先生は、15歳で月経が来ない場合は精査したほうがよいとのこと。
月経があって、その後3カ月以上停止したものも要注意。
その原因はダイエットによる体重減少が結構多いらしい。
ほかにも、拒食症、運動性無月経、また多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などがある。
2)月経困難症
「生理痛がひどい」ということもよく相談される。
思春期の場合は、たいてい機能性月経困難でその機序として、
@子宮の収縮をおこすプロスタグランジンがたくさん分泌される。
A子宮や卵巣が未成熟
B冷え
Cストレス
器質的月経困難症としては、
子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などがあるが、これは思春期ではほとんどない。しかし、10代で子宮内膜症のこともあるらしい。
機能性月経困難症の治療は、
1)鎮痛薬
2)漢方薬
3)低用量エストロゲン・プロゲスチン配合錠(LEP製剤)
甲村先生は特にLEP製剤について詳しく話された。
これは、排卵を抑制して、子宮内膜の増殖を抑制し、経血量も減少、プロスタグランジン産生も減少させる。
それによって、月経痛の緩和、月経量の減少、貧血の改善、機能性子宮出血の改善、排卵痛の緩和、月経前症候群の症状緩和。また月経時期もコントロールできる。
日本人はピルはだめだ、怖いという考えがいまだにあるが、このLEP製剤は女性の生活改善の薬だといわれている。
また、10代に月経痛がひどいと、将来子宮内膜症になりやすいとのこと。月経痛を我慢するのではなく、ちゃんとコントロールしてあげたい。
私は、漢方薬や鎮痛剤処方はできるが、さすがにLEP製剤は処方したことがなく婦人科の先生にお願いしている。
ひどい月経痛がある場合は、婦人科の先生にもご相談したほうがよいかと思う。
ただ、LEP製剤の副反応を気にされている方も多い。
低用量になっているので、昔のピルに比べてかなり副反応は少ないとのこと。
それでも、消化器症状(嘔気、腹部膨満)、性器出血、帯下の増加、乳房痛、頭痛などもある。その症状が、漢方薬を併用することによって、よくなることもある。
どんな薬もそうだが、メリットとデメリットを考えて、本人にとってベストの方法を選びたい。
Posted by さかざきひろみ at 19時30分 トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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